この研究は、インドの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Plant Science Today

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

雑穀は高温や干ばつ、やせた土壌に比較的強く、気候の変動に耐える農業を支える作物とされています。インドで広く栽培されるシコクビエ(フィンガーミレット)は、生育期間が短く、肥料などの投入が少なくても育ち、穀粒と家畜の飼料の両方に使われます。

同じ畑で複数の作物を同時に育てる方法を「間作」と呼びます。マメ類は根に共生する微生物の働きで空気中の窒素を取り込めるため、雑穀とマメ類の間作は土壌を肥沃にし、限られた土地を効率よく使う方法として注目されてきました。ただし、シコクビエとマメ類の間作で、生育の中身を生理的な指標から詳しく調べた研究は多くありません。

研究チームは、シコクビエをブラックグラム(ケツルアズキ)またはキマメと組み合わせて間作したとき、どの組み合わせとどの列の比率が適しているかを明らかにすることを目的としました。

どのように調べたか

実験は、インド南部タミル・ナードゥ州の半乾燥地にある試験圃場で、2021〜22年と2022〜23年の乾季の作期に、灌漑を行う条件で実施されました。

比較したのは7つの栽培方法です。シコクビエだけを育てる区に加え、シコクビエとブラックグラムを3対1、3対2、4対1、4対2の列の比率で植える区、シコクビエとキマメを6対1、8対1の比率で植える区を設けました。たとえば4対1は、シコクビエ4列に対してブラックグラム1列を植える配置を意味します。各区は3回ずつ繰り返して設けられました。

著者らは、葉の面積、一定の地面に対して葉がどれだけ広がっているかを示す指標(葉面積指数)、葉の厚みや充実度を表す面積当たりの葉の重さ、作物の成長速度、葉緑素の量、乾燥させた植物体の重さ、収量などを生育段階ごとに測定し、栽培方法の間で比較しました。

主な結果

論文によると、シコクビエとブラックグラムを4対1の比率で植えた区が、生育期間を通じて最も良い成績を示しました。この区では葉の面積や面積当たりの葉の重さ、成長速度、葉緑素の量が高く、植物体の乾物重も1株当たり25.3グラムと最大でした。

収量についても、この4対1の区で1ヘクタール当たり3055キログラムと最も高い子実収量が報告され、経済的な収益も他の区より大きかったとされています。

一方、キマメと組み合わせた区では、葉の面積や成長速度、収量が低くなりました。著者らは、キマメは草丈が高く開花までの期間も長いため、光や水、養分をめぐってシコクビエとの競合が強まったことが原因と考察しています。

ブラックグラムとの組み合わせが良かった理由について、著者らは、背の低いブラックグラムがシコクビエの下の葉まで光を届きやすくすることや、マメ類が取り込んだ窒素が土壌に供給されることが関係していると論じています。

研究が示すこと

この研究は、雑穀とマメ類の間作でも、組み合わせる作物の種類と植える列の比率によって生育や収量が大きく変わることを示しています。研究チームは、灌漑条件のもとではシコクビエとブラックグラムを4対1で植える方法が、生産性と収益性を高める有効な組み合わせであると結論づけています。なお、この結論は灌漑を行った条件での試験に基づくものです。

著者:K. Ananthi(Oilseeds Research Station, Tamil Nadu Agricultural University, Tindivanam, Villupuram 604 002, Tamil Nadu, India)、B. Sivakumar(Forest College and Research Institute, Tamil Nadu Agricultural University, Mettupalayam 641 301, Tamil Nadu, India)、S Ganapathy(Oilseeds Research Station, Tamil Nadu Agricultural University, Tindivanam, Villupuram 604 002, Tamil Nadu, India)、R. Brindavathy(Oilseeds Research Station, Tamil Nadu Agricultural University, Tindivanam, Villupuram 604 002, Tamil Nadu, India)、K. Sathiya(Oilseeds Research Station, Tamil Nadu Agricultural University, Tindivanam, Villupuram 604 002, Tamil Nadu, India)、Barath Muralidharan(Horticulture College and Research Institute, Tamil Nadu Agricultural University, Coimbatore 641 001, Tamil Nadu, India)、S Navaneetha Krishnan(Forest College and Research Institute, Tamil Nadu Agricultural University, Mettupalayam 641 301, Tamil Nadu, India)、K S Ashwin(Forest College and Research Institute, Tamil Nadu Agricultural University, Mettupalayam 641 301, Tamil Nadu, India)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):K. Ananthi, B. Sivakumar, S Ganapathy, et al. The importance of climate-smart agriculture for small millets through legume intercropping. Plant Science Today 2026-10-01. DOI: 10.14719/pst.14309. 原著ライセンス:CC BY.