日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。

掲載誌:Journal of Food Bioactives

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

日本では体格指数(BMI)が25以上を肥満とし、25以上30未満を軽度の肥満としています。論文によると、東アジアの人は欧米の人に比べて肥満の割合は低いものの、同じBMIでもおなかの内臓の周りにつく脂肪(内臓脂肪)が多い傾向があります。そのため、軽度の肥満でも代謝の病気のリスクが高まるとされています。研究チームは、毎日の食品として安全にとれ、内臓脂肪を減らすことを目指す食品素材が求められていると述べています。

研究チームが注目したのは、熱帯のマメ科の樹木タマリンドの種の皮です。種からは食品の増粘剤などに使われるガムが作られますが、その際に出る種皮はほとんどが捨てられています。この種皮には、カテキンやプロシアニジンといったポリフェノールが多く含まれています。これまで培養細胞やラットの実験で、脂肪の蓄積を抑える作用などが報告されていました。しかし、人の内臓脂肪への影響は評価されていませんでした。そこで研究チームは、タマリンド種皮抽出物を12週間摂取すると、偽の食品をとった場合に比べて内臓脂肪が減るかどうかを確かめる臨床試験を行いました。

試験の方法

試験の対象は、BMIが25以上30未満の日本人の成人112人です。参加者はくじ引きのような方法で二つのグループに分けられました。一方のグループは、タマリンド種皮抽出物を1日200mg含むカプセルを12週間とりました。もう一方のグループは、抽出物を含まない見た目も味も同じカプセル(プラセボ)をとりました。参加者も試験を行う側も、誰がどちらをとっているか分からない「二重盲検」という方式で実施されています。

効果は、へその高さで撮影したCT画像から、内臓脂肪、皮下脂肪、その合計の面積を測って評価しました。最も重視する評価項目(主要評価項目)は、12週間後の内臓脂肪面積です。効果の解析には、決められた量の8割以上を摂取した100人(各グループ50人)のデータが使われました。抽出物の成分分析では、主な成分として、エピカテキン、プロシアニジンB2、エピカテキンが多数つながった高分子のプロシアニジンが確認されたと報告されています。

主な結果

主要評価項目である12週間後の内臓脂肪面積は、抽出物グループで約115.9平方センチ、プラセボグループで約123.3平方センチと推定されました。抽出物グループの方が小さかったものの、その差は統計的に偶然では説明しにくいと言える水準(統計的有意差)には届きませんでした。一方、4週間後の時点では、内臓脂肪面積は抽出物グループで有意に小さくなっていました。また、内臓脂肪と皮下脂肪を合わせた総脂肪面積の開始時からの変化率は、8週後と12週後に抽出物グループでのみ減少し、グループ間の差は有意でした。皮下脂肪の面積には、どの時点でも有意な差はありませんでした。

研究チームは、試験後に追加の探索的な解析も行っています。対象は、開始時の内臓脂肪が皮下脂肪に比べて多い人(内臓脂肪と皮下脂肪の比が0.4以上で、内臓脂肪型肥満の目安とされる人)です。抽出物グループ35人、プラセボグループ30人のこの集団では、12週間後の内臓脂肪面積が抽出物グループで有意に小さいという結果でした。体重、腹囲、体脂肪量なども抽出物グループの方が低くなっていました。ただし、この集団では開始時点で体脂肪率などにグループ間の差がありました。研究チームは、その影響を考慮した追加の解析でも内臓脂肪面積の差が見られたと報告しています。そのうえで、この解析は慎重に解釈すべきものだとしています。

安全性の面では、試験期間中に有害事象は起こらなかったと報告されています。研究チームは、この抽出物は食品として安全だと判断しています。

研究から伝わること

この試験では、最も重視した12週間後の内臓脂肪面積で統計的な有意差は確認されませんでした。それでも、抽出物グループでは試験期間を通じて内臓脂肪が少ない方向の変化が一貫して見られました。研究チームは、内臓脂肪型の傾向がある軽度肥満の人で内臓脂肪の減少を示した初めての臨床試験だと位置づけています。ただし、その結果は試験後に行った探索的な解析によるものです。捨てられることの多い種皮が食品素材として役立つ可能性を、人での試験で検討した研究と言えます。

著者:Hiroaki Yamada(Research & Development Division, Pharma Foods International Co., Ltd.,JAPAN.)、Yusuke Yamashita(Research & Development Division, Pharma Foods International Co., Ltd.,JAPAN.)、Xuan Li(Research & Development Division, Pharma Foods International Co., Ltd.,JAPAN.)、Kenji Sato(Research & Development Division, Pharma Foods International Co., Ltd.,JAPAN.)、Saki Shirako(Research & Development Division, Pharma Foods International Co., Ltd.,JAPAN.)、Mariko Hirata(MP GOKYO FOOD & CHEMICAL Co., Ltd.,JAPAN.)、Jun Kawamura(MP GOKYO FOOD & CHEMICAL Co., Ltd.,JAPAN.)、Yumeo Suzuki(MP GOKYO FOOD & CHEMICAL Co., Ltd.,JAPAN.)、Yoshito Tsuruha(MP GOKYO FOOD & CHEMICAL Co., Ltd.,JAPAN.)、Tsuyoshi Takara(Takara Clinic Medical Corporation Seishinkai,JAPAN.)、Young-il Kim(Research & Development Division, Pharma Foods International Co., Ltd.,JAPAN.)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hiroaki Yamada, Yusuke Yamashita, Xuan Li, et al. Effects of tamarind seed husk extract on abdominal visceral fat: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial in Japanese adults with mild obesity. Journal of Food Bioactives 2026-10-09. DOI: 10.26599/jfb.2026.95035457. 原著ライセンス:CC BY.