この研究は、イギリスの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Future Postharvest and Food
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
レビューの目的
イラクサ(学名 Urtica dioica)は、栄養に富み、生理的な働きをもつ成分(生理活性成分)を多く含む植物として、機能性食品への利用に関心が集まっています。一方で、葉は水分が75〜85%と多く、微生物によって傷みやすいため、収穫後すぐに品質が落ちやすいという課題があります。
この論文は、こうした背景から、乾燥や抽出などの加工を施したイラクサの葉について、物理的・化学的な性質、食品素材としての機能、食品への応用に関するこれまでの知見を整理したレビュー(既存研究をまとめた総説)です。
成分と加工の影響
著者らによると、イラクサの葉にはたんぱく質、食物繊維、葉緑素(クロロフィル)、カロテノイド、フェノール化合物といった生理活性をもつ成分が豊富に含まれています。これらの成分は、抗酸化、抗炎症、抗菌、代謝の調節といった作用に関わると報告されています。
また、凍結乾燥や溶媒による抽出といった加工方法の違いが、こうした成分がどれだけ保たれるかに大きく影響することが示されています。
食品への利用と課題
レビューでは、イラクサの葉の粉末や抽出物を、パンや焼き菓子、飲料、乳製品、栄養補助食品などに配合することに成功した研究が数多くあると紹介されています。配合の割合は、元の材料の最大20%までを置き換える水準とされています。
さらに、水や油を保持する力、乳化(水と油を混ぜ合わせる)を助ける性質、色を引き立てる性質などが、イラクサを多機能な食品素材として使えることを裏付けると述べられています。
一方で、味や香りなどが消費者に受け入れられるかという点、加工方法や生育環境によって成分の組成がばらつく点、抽出や乾燥の手法の標準化が進んでいない点が、残された課題として挙げられています。
このレビューが示すこと
このレビューは、傷みやすいイラクサの葉が、加工によって多様な食品に使える素材となりうることを、既存研究を通して示しています。同時に、成分の保ち方や品質のばらつき、食べやすさといった点に課題があり、加工方法や配合の工夫が利用の鍵になることを伝えています。
著者:Mary Nkongho Tanyitiku(Food and Markets Department Natural Resources Institute University of Greenwich London and South East (LASE) University Group Chatham Kent UK)、Rakshya Pandit(Food and Markets Department Natural Resources Institute University of Greenwich London and South East (LASE) University Group Chatham Kent UK)、Mihiri Vanniarachchy(Food and Markets Department Natural Resources Institute University of Greenwich London and South East (LASE) University Group Chatham Kent UK)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mary Nkongho Tanyitiku, Rakshya Pandit, Mihiri Vanniarachchy. Physicochemical, Functional, and Health‐Promoting Properties of Processed Nettle ( Urtica Dioica ) Leaves: A Review. Future Postharvest and Food 2026-10-08. DOI: 10.1002/fpf2.70068. 原著ライセンス:CC BY.