この研究は、モザンビーク、ブラジルの研究機関の研究論文です。
掲載誌:OpenAlex
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
高血圧は世界的に早すぎる死の主な原因の一つで、これまでは主に大人の病気と考えられてきました。著者らは、低・中所得国の思春期の若者でも高血圧やその危険因子が増えていると指摘しています。都市化や食生活の変化により、塩分・糖分・飽和脂肪の多い超加工食品(工場で高度に加工された菓子や清涼飲料などの食品)が身近になったことが背景にあると述べています。
モザンビークでも伝統的な食品が減り、超加工食品の摂取が増える「栄養転換」が進んでいます。一方、同国の学校で栄養教育の効果を実際に測った研究は不足しています。そこで研究チームは、テテ市のフランシスコ・マニャンガ中等学校で、15〜19歳の生徒を対象に、体系的な栄養教育が高血圧の予防にどの程度役立つかを調べました。
どのように調べたか
参加者は、研究者が意図的に選んだ15〜19歳の生徒80人です。研究チームは、訓練を受けた健康教育担当者による約60分の授業を週1回、1か月にわたって計4回実施しました。授業ではバランスのよい食事の基本、塩分と糖分を減らすこと、超加工食品の危険性と果物・豆類・野菜の利点、定期的な運動や規則正しい食事の大切さを扱いました。講義だけでなく、グループ討論、ポスターやスライド、食品を選ぶ練習などの参加型活動も取り入れました。
研究チームは、初回授業の前と最終授業の後に同じ生徒へ質問票を配り、栄養の知識、食習慣、運動習慣、教育内容の受け止め方を調べました。あわせて体重・身長・BMIと血圧を、介入の前後に測定しました。前後の変化は統計的に比較し、偶然では説明しにくい差かどうかを確かめました。
主な結果
最もはっきり表れたのは知識の向上です。栄養に関する質問の正答率は、介入前の42.5%から介入後には76.3%に上がりました。統計解析でも知識の得点の変化は有意で、効果の大きさは中程度から大きめと報告されています。生徒の評価も良好で、67.5%が授業を「良い」と答えました。
一方、実際の食行動の変化は限られていました。果物や野菜を好ましく思う回答は増えたものの、摂取頻度は「ときどき」に集中しました。清涼飲料は47.5%が「ときどき」飲むと答え、危険因子として残りました。食事を規則正しくとる習慣はやや改善しましたが、報告された食行動の変化は統計的に有意ではありませんでした。
血圧にも有意な違いは見られませんでした。平均の収縮期血圧(上の血圧)は介入前が118.4mmHg、介入後が117.9mmHgでした。著者らは、介入期間が短く、測定できるほどの体の変化を生むには不十分だったと考えています。
研究が示すこと
この研究は、学校での短期間の栄養教育が生徒の知識や意識を高め得る一方、それだけでは日々の食習慣や血圧の変化までは確認されなかったことを示しています。著者らは、知識を習慣に結びつけるには、継続的な働きかけ、授業への組み込み、家族の協力、健康的な食品を選びやすい学校や地域の環境が重要だと結論づけています。
著者:Hassane Bacião Raúl(Central de Medicamentos e Artigos Médicos – Armazém Central da Beira, Bairro Pioneiros, Rua Vieira da Rocha nº2319, na cidade da Beira, Moçambique)、Nelson Domingos Cote(Federal University of Bahia,Street Dr. Augusto Viana, Bahia School of Medicine, Canela, Salvador, BA, 40301-155, Brazil)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hassane Bacião Raúl, Nelson Domingos Cote. Nutritional Education and Prevention of Arterial Hypertension in Adolescents: A Study at Francisco Manyanga Secondary School, Tete 2025. OpenAlex 2026-09-23. DOI: 10.68050/jams.2026.509. 原著ライセンス:CC BY.