著者の所属・活動拠点の国は、オーストラリア、スウェーデンです。
掲載誌:Frontiers in Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
「健康にいい食事」と「地球にやさしい食事」は、実は重なる部分が多いと言われています。野菜や豆類を中心とした食生活は、生活習慣病のリスクに関わるとされる一方で、環境への負荷も比較的小さいと考えられているためです。こうした「健康的で持続可能な食事」への移行は、健康と環境の両方の課題に対応するために必要とされています。特に食習慣が定着し始める若い世代の食生活は、今後の健康や環境に長く影響する可能性があるため、注目される年代です。今回、オーストラリアの18〜25歳の若年成人を対象に、こうした食事にどの程度近づけているか、そして何がそれを後押ししたり妨げたりしているのかを調べた研究が、フロンティアーズ・イン・ニュートリション誌に2026年07月に掲載予定です。
どんな研究?
研究チームは、オーストラリアに住む18〜25歳の若年成人297人を対象にオンライン調査を実施し、健康的で持続可能な食事に関する知識、態度、障壁(妨げになる要因)、後押しとなる要因を尋ねました。さらに、このうち107人については、最大4回の24時間食事思い出し調査(前日に食べたものを詳しく聞き取る方法)のデータも収集されました。この食事記録をもとに、「World Index for Sustainability and Health」を改変した指標(mod-WISHスコア)を用いて、健康的で持続可能な食事にどれだけ沿っているかを点数化しました。デモグラフィック(年齢や性別、就労状況など)と、知識・態度・障壁・後押し要因・mod-WISHスコアとの関連については、単変量および多変量の回帰分析を用いて検討されています。
何がわかったか
mod-WISHスコアの平均は130点満点中49.3±14.5点でした。多変量モデルの結果、植物性食品を中心とした食事をしている人は、そうでない人に比べてmod-WISHスコアが高いことが示されました(p=0.024)。
また、多くの参加者は健康的で持続可能な食事に関するガイドラインの存在をあまり認識しておらず、こうした食事を「便利」「手頃な価格」「入手しやすい」とは感じていないことも示されています。肉や乳製品への嗜好や、それらを健康によいと感じる意識が、こうした食事を続けるうえでの主な障壁として挙げられました。
性別による違いも報告されています。女性に比べて男性は、動物福祉への理解がこうした食事を選ぶ動機になっていると答える割合が低く(p=0.008)、肉への嗜好が障壁になっていると答える割合が高いことが示されました(p=0.016)。就労状況との関連も見られ、フルタイムで働く若年成人は、無職の人に比べてこうした食事を「便利」と感じにくい傾向が示され(p=0.019)、パートタイム・カジュアル雇用の人は、健康的で持続可能な食品を入手しやすい環境が整うことが後押しになると答える割合が、無職の人より高いことが示されました(p=0.029)。
この研究を読むうえでの注意点
この研究は、ある時点での調査結果をもとにした横断研究であり、原因と結果の関係を直接示すものではありません。また、対象はオーストラリアに住む18〜25歳の若年成人であり、対象人数も297人(食事記録の分析は107人)と限られています。ここで示された関連は、あくまでこの集団・この時点における観察結果であり、他の年代や地域にそのまま当てはまるとは限りません。一つの研究であり、結論が確定したわけではない点に留意する必要があります。
まとめ
この研究では、オーストラリアの若年成人の食生活が、健康的で持続可能な食事の目安とされる基準に対してまだ十分に近づいていない可能性が示唆されています。植物性食品中心の食生活との関連や、性別・就労状況によって障壁や後押し要因が異なる可能性が報告されており、著者らは、こうした知見が若年成人を対象とした今後の食事介入の計画や開発に役立つ可能性があるとしています。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):オーストラリアの若年成人における健康的で持続可能な食事の遵守とその関連要因:横断研究(フロンティアーズ・イン・ニュートリション・2026年07月)
原著論文の著者・所属:Bill Tiger Lam(Deakin Institute for Physical Activity and Nutrition, Deakin University, Geelong, VIC, Australia)、Ewa A. Szymlek-Gay(Deakin Institute for Physical Activity and Nutrition, Deakin University, Geelong, VIC, Australia)、Christel Larsson(Department of Food and Nutrition, and Sport Science, University of Gothenburg, Gothenburg, Sweden)、Claire Margerison(Deakin Institute for Physical Activity and Nutrition, Deakin University, Geelong, VIC, Australia)