著者の所属・活動拠点の国は、ブラジル、スペインです。
掲載誌:Postharvest Biology and Technology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ガリアメロンは人気のあるメロンですが、傷みやすい果物です。特有の香りは主に「エステル」と呼ばれる香り成分によるもので、収穫後に冷蔵状態で運ばれる流通過程で急速に損なわれるとされています。
研究チームは、植物から得られる香りの強い油である精油を微小なカプセルに閉じ込め、それを紙にしみ込ませた「アクティブ紙シート」に注目しました。このシートを包装に使うことで、市販の流通に近い条件のもとでメロンの品質、特に香りを保てるかを調べることが目的です。
どのように調べたか
メロンをアクティブ紙シートと一緒に包装したものと、シートなしで包装したもの(対照)に分けました。どちらも5℃で7日間保存して冷蔵流通を想定し、その後24℃で4日間置いて店頭販売の期間を再現しました。保存開始時、7日目、11日目に試料を取りました。
調べた項目は、香り成分の構成、果実表面の微生物の量、果実の性質を示す物理化学的な数値、色、硬さ、そして人による官能評価です。香り成分は、成分を吸着させて集め、一つずつ分離して種類を特定する分析法で測りました。
主な結果
抄録によると、シートを使った包装では、ガリアメロンの香りの中心となるエステル類が多く保たれていました。冷蔵保存の後、香り成分全体に占めるエステル類の割合は、シートありで約63%、シートなしで54%でした。この差は、その後の販売想定期間を通じて続いたと報告されています。アルデヒドや脂肪酸など、ほかの成分群はどちらの包装でも少ないままでした。
シートに含まれる精油の主な成分であるオイゲノールとチモールは、果肉にはごくわずかしか移っていませんでした。このため著者らは、精油の成分が果実に入り込んで香りを足したのではなく、果実自身が香りをつくる働きに影響したことによる効果とみられると考えています。
シートありのメロンでは、表面の微生物も少なくなりました。保存の終わりには、中程度の温度でよく増える「中温性微生物」の量が、対数の単位で最大1.7少なかったとされています。腐敗が見られた割合も、シートありで約25%、シートなしで36%でした。香りと味の好ましさの評価も高く、重さの減り方には影響がありませんでした。品質の変化が最も大きかったのは、24℃に置いた販売想定期間でした。
研究が示すこと
この研究は、精油を閉じ込めた紙シートを包装に加えると、流通を想定した保存の過程でガリアメロンの香りの中心となる成分が保たれやすく、微生物の量や腐敗も少なかったことを報告しています。著者らは、この方法をガリアメロンの香りと品質を保ち、日持ちを延ばすための、有望で導入しやすい手段だと位置づけています。
原著論文の著者・所属:A. López-Gómez(Department of Agricultural and Forestry Sciences, Federal University of the Semi-arid Region, Francisco Mota, 572, Mossoró, Rio Grande do Norte, 59625-900, Brazil; Grupo CFM, Balsapintada, Murcia, 30332, Spain)、M.Á Martínez-Sánchez(Department of Agricultural and Forestry Sciences, Federal University of the Semi-arid Region, Francisco Mota, 572, Mossoró, Rio Grande do Norte, 59625-900, Brazil)、W.A. Oliveira da Silva(Food Safety and Refrigeration Engineering Group , Department of Agricultural Engineering , Universidad Politécnica de Cartagena , Paseo Alfonso XIII, 48 , Cartagena , 30203 , Spain)、F.W. Aguilar-Tarbay(Institute of Plant Biotechnology, Universidad Politécnica de Cartagena, Campus Muralla del Mar, Cartagena, 30202, Spain)、A. Navarro-Martínez(Department of Agricultural and Forestry Sciences, Federal University of the Semi-arid Region, Francisco Mota, 572, Mossoró, Rio Grande do Norte, 59625-900, Brazil)、G.B. Martínez-Hernández(Department of Agricultural and Forestry Sciences, Federal University of the Semi-arid Region, Francisco Mota, 572, Mossoró, Rio Grande do Norte, 59625-900, Brazil; Grupo CFM, Balsapintada, Murcia, 30332, Spain)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):A. López-Gómez, M.Á Martínez-Sánchez, W.A. Oliveira da Silva, et al. Active paper sheets incorporating encapsulated essential oils preserve the volatile profile of melon galia (Cucumis melo L. var. reticulatus) during storage. Postharvest Biology and Technology 2026-10-22. DOI: 10.1016/j.postharvbio.2026.114767. 原著ライセンス:CC BY.