この研究は、オランダ、スペインの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Meat Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

動物性たんぱく質の需要が世界的に高まるにつれ、家畜の飼料と人の食料が原料を奪い合う「飼料と食料の競合」や、温室効果ガス排出による環境負荷が問題になっています。

この研究では、パンや菓子の製造部門で生じた「元食品」を飼料原料として含む、循環型で炭素排出の少ない飼料(低炭素フットプリント飼料、以下LCF飼料)が評価されました。元食品とは、食品として作られたものの人の食用には回されなかった製品を指します。研究チームは、この飼料を豚に与えたときの成長、枝肉、肉の品質、そして飼料の環境への影響を調べました。

どのように調べたか

実験では、体重約25kgの豚240頭に、通常の対照飼料またはLCF飼料のどちらかを90〜92日間与えました。条件の偏りを減らすため、似た条件の個体をまとめたうえで無作為に飼料を割り当てる「乱塊法」という設計が用いられています。

成長成績に加え、と畜後には枝肉の重さ、生体重に対する枝肉の割合(枝肉歩留まり)、背脂肪の厚さ、筋肉の厚さ、赤身肉の割合が評価されました。さらに、包装した肉を最長13日間にわたって調べ、日持ちと脂肪酸の組成を評価するとともに、人の感覚で肉の特性を評価する官能評価も行われました。飼料の環境負荷については、原料の生産から使用までの影響を総合的に見積もる「ライフサイクルアセスメント」で評価しています。

主な結果

著者らの報告によると、LCF飼料を与えた豚は対照飼料の豚に比べて成長成績が向上しました。枝肉の重さと枝肉歩留まりも向上し、背脂肪の厚さについても改善したと報告されています。ただし抄録では、この背脂肪の改善が厚くなったことか薄くなったことかは示されていません。一方で、筋肉の厚さは減少しました。

肉の鮮度は包装後の時間の経過とともに低下しましたが、においの官能評価ではLCF飼料群で改善が示されました。LCF飼料群の肉は赤みが強く、酸化が起こりにくい性質(酸化安定性)も向上していました。対照群の肉は色がより明るい傾向でした。

脂肪酸の組成では、LCF飼料によって肉に含まれるC18:3、C20:1、C20:5の各脂肪酸とn-3系脂肪酸の量が増え、C17:0は減少しました。ここでの「C」に続く数字は脂肪酸の炭素数と二重結合の数を表しています。また、ライフサイクルアセスメントの結果から、LCF飼料は気候変動への影響を抑えたと報告されています。

研究が示すこと

この研究は、パンや菓子の元食品を含む飼料を豚に与えた場合に、成長成績や肉のいくつかの特性が向上し、同時に飼料の気候変動への影響が抑えられたことを報告しています。一方で筋肉の厚さは減少しており、飼料の切り替えが枝肉の特性にさまざまな形で影響することもうかがえます。

著者:Xiaonan Guan(SFR – Schothorst Feed Research, Lelystad, the Netherlands)、J. González(IRTA – Food Quality and Technology, Finca Camps i Armet, 17121 Monells, Catalonia, Spain)、Maria Font‐i‐Furnols(IRTA – Food Quality and Technology, Finca Camps i Armet, 17121 Monells, Catalonia, Spain)、Ragna Leeuw(SFR – Schothorst Feed Research, Lelystad, the Netherlands)、Arno Heuvelmans(Nijsen company B.V., Veulenseweg 20, 5814 AC Veulen (Venray), the Netherlands)、Daisy Dirks-Castelijns(Nijsen company B.V., Veulenseweg 20, 5814 AC Veulen (Venray), the Netherlands)、Francesc Molist(SFR – Schothorst Feed Research, Lelystad, the Netherlands)、Regiane R. Santos(SFR – Schothorst Feed Research, Lelystad, the Netherlands)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Xiaonan Guan, J. González, Maria Font‐i‐Furnols, et al. Improved pork quality and pig performance through a circular feeding strategy: A sustainable approach. Meat Science 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.meatsci.2026.110237. 原著ライセンス:CC BY.