著者の所属・活動拠点の国は、カナダです。
掲載誌:Food Science & Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
チーズやヨーグルト、キムチや味噌など、発酵食品は世界各地の食文化に根付いています。近年、慢性疾患や自己免疫疾患がカナダで増加していることを背景に、長期的な健康を支える食事のあり方として発酵食品への関心が高まっているとされます。ただし、実際にカナダの人々がどれくらい発酵食品を食べ、どのように受け止めているかについては、国レベルのデータがこれまでほとんどありませんでした。この研究は、そうした消費パターンや認識、知識の実態を明らかにするために行われた調査です。
どのように調べたのか
研究チームは2023年9月から11月にかけて、カナダの成人4045人を対象に横断調査を実施しました。調査では、18種類の発酵食品について摂取状況を尋ねるとともに、発酵食品に対する行動や認識、発酵という工程そのものに関する一般的な知識も評価しています。
調査でわかったこと
全体では、調査対象となった18種類の発酵食品すべてを少なくとも一度は食べたことがあると答えた人は25.7%でした。個別に見ると、最も多く消費されていたのはチーズ(95.7%)とヨーグルト(93.2%)で、逆に発酵魚(38.9%)や発酵穀物・穀類(40.2%)は消費割合が最も低い部類に入っていました。
消費パターンには年齢、性別、収入、学歴による違いが見られ、高齢者や収入・学歴が低い層、そして食品選びで健康をあまり重視しない層では摂取が少ない傾向が示されました。発酵食品を食べる理由としては「味」が最も多く挙げられ、「健康」がそれに次ぐ動機とされています。
自宅での発酵(家庭内発酵)を行っている人は9.0%と少数派でしたが、若年層や学歴の高い層でより多く見られました。一方で、新しい発酵食品を試してみたいという意欲を示した人は29.1%、家庭内発酵に取り組んでみたいという人は30.0%おり、一定の関心の高さもうかがえます。
その一方で、発酵食品の安全性について「よくわからない」とした人が18.4%、健康への効果について不確実さを感じている人は52.7%にのぼりました。それでも回答者の3分の2は発酵食品についてもっと学びたいと考えており、約半数は「カナダ食品ガイド」のような信頼できる情報源からの案内を望んでいることも示されています。
この研究の位置づけと注意点
この調査は横断調査であり、ある一時点での消費行動や意識を捉えたものです。今回のデータは、発酵食品に関する消費者教育や、根拠に基づいた情報提供、今後の公衆衛生的な取り組みを検討するうえでの手がかりとなることが期待される、と論文では位置づけられています。ただし、これは一つの調査結果であり、発酵食品の健康効果そのものを証明するものではない点には注意が必要です。
まとめ
今回の調査から、カナダではチーズやヨーグルトのようになじみ深い発酵食品はよく食べられている一方、発酵魚や発酵穀物といった食品はまだ浸透しておらず、また安全性や健康効果についての理解にはばらつきがあることが見えてきました。多くの人が発酵食品についてもっと知りたいと考えている一方で情報が十分に届いていないというギャップも浮かび上がっており、今後の情報提供のあり方を考えるうえで参考になる調査といえそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):発酵食品に対する消費者の認識と行動:カナダの調査からの知見(フード・サイエンス・アンド・ニュートリション・2026年08月)
著者:Camila Schultz Marcolla(Department of Agricultural, Food and Nutritional Science University of Alberta Edmonton Alberta Canada)、Samantha Tapping(Department of Microbiology and Immunology Western University London Ontario Canada)、Carla L. Sánchez-Lafuente(Canadian Fermented Foods Initiative London Ontario Canada)、Kara Sampsell(Faculty of Kinesiology University of Calgary Calgary Alberta Canada)、Gabrielle Eaton(Department of Agricultural, Food and Nutritional Science University of Alberta Edmonton Alberta Canada)、Ellen Goddard(Department of Resource Economics and Environmental Sociology University of Alberta Alberta Canada)、Benjamin P. Willing(Canadian Fermented Foods Initiative London Ontario Canada)、Jeremy P. Burton(Canadian Fermented Foods Initiative London Ontario Canada)、Raylene A. Reimer(Canadian Fermented Foods Initiative London Ontario Canada)