日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。
掲載誌:JGH Open
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に広く炎症が起こる病気で、原因はまだ分かっていません。これまでの基礎研究や臨床研究から、食物繊維をとることで症状が和らぐ可能性が示唆されてきました。
研究チームが注目したのは、玄米と米ぬかを麹菌(アスペルギルス・オリゼ)で発酵させてつくる食品「FBRA」です。著者らは、FBRAが潰瘍性大腸炎の患者に効果をもつかを、二重盲検ランダム化クロスオーバー試験で評価することを目的としました。
どのように調べたか
二重盲検とは、患者も医師も、どちらの食品をとっているかを知らない状態で試験を進める方法です。クロスオーバー試験では、同じ参加者が順番を入れ替えて両方の食品を試します。
参加者は二つのグループに分けられました。グループAはFBRAを14週間とり、効果を持ち越さないための休止期間(ウォッシュアウト期間)を置いたあと、比較用の機能をもたない食品を14週間とりました。グループBはその逆の順番です。
主に評価したのは、病気の活動性を点数で表す「臨床活動指数(CAI)」が摂取の前後で改善したかどうかです。あわせて、炎症の程度を示す血液検査の値(高感度CRPなど)や、栄養状態を示す値(血清たんぱくなど)の変化、そして有害事象も調べました。
主な結果
試験への参加に同意した患者は56人で、最後まで試験を終えたのはグループAが19人、グループBが21人でした。
主な評価項目である臨床活動指数については、FBRAによる改善はみられませんでした。
一方、参加予定者全員を当初の割り付けどおりに解析する方法(ITT解析)で血液検査の値をみると、高感度CRP、1時間値の赤沈(赤血球沈降速度)、白血球数、血清たんぱく、血清アルブミンがいずれも摂取前より改善する傾向を示しました。論文が示した改善比は1.70(95%信頼区間0.97〜2.98)でした。重い有害事象は観察されませんでした。
この研究が示すこと
この試験では、症状の点数で測った病気の活動性の改善は確認されませんでした。ただし、炎症や栄養状態に関わる血液検査の値には改善の傾向がみられ、著者らはFBRAが潰瘍性大腸炎の炎症の改善に役立つ可能性があるという期待を示しています。そのうえで、効果を確かめるには、より大規模な検証研究が必要だとしています。
著者:Hideki Ishikawa(Molecular‐Targeted Preventive Medicine Kyoto Prefectural University of Medicine Kyoto Japan)、Yoshinari Onishi(Department of Molecular Bacteriology, Institute of Health Biosciences The University of Tokushima Graduate School Tokushima Japan)、Keiko Kataoka(Department of Molecular Bacteriology, Institute of Health Biosciences The University of Tokushima Graduate School Tokushima Japan)、Yoshitaka Murakami(Department of Medical Statistics Toho University Tokyo Japan)、Michihiro Mutoh(Molecular‐Targeted Preventive Medicine Kyoto Prefectural University of Medicine Kyoto Japan)、Hiroshi Kobayashi(Sapporo Cancer Seminar Sapporo Hokkaido Japan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hideki Ishikawa, Yoshinari Onishi, Keiko Kataoka, et al. Efficacy of Fermented Brown Rice by Aspergillus oryzae ( FBRA ) in Ulcerative Colitis: A Double‐Blind Randomized Trial. JGH Open 2026-10-01. DOI: 10.1002/jgh3.70476. 原著ライセンス:CC BY.