著者の所属・活動拠点の国は、イギリスです。

掲載誌:Multisensory Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

私たちが食べたり飲んだりするとき、周囲で聞こえる音はその行動に関わっているのでしょうか。著者らによると、1950年代以降の研究で、飲食のさまざまな側面が、消費者がその場で置かれている音の環境に左右されうることが示されてきました。小売業や食品業界、広告業界では、人々の飲食行動や味の感じ方に働きかける目的で、特定の音が意図的に使われてきたともいいます。

この論文は、音の刺激が人々の食べる・飲むという行動にどのような影響を与えるのかについて、現在分かっていることをまとめたレビュー論文です。なお、ここでの紹介は論文の抄録に基づいています。

どのような音を取り上げたか

著者らは、これまでの研究を歴史的な流れに沿って整理する「ナラティブ・レビュー」という形式をとっています。これは、特定の統計手法で数値を統合するのではなく、既存の研究を幅広く読み解いて記述的にまとめる方法です。

取り上げられた音は多岐にわたります。背景の騒音や音楽、ある場所の雰囲気をつくる音の風景(サウンドスケープ)、食べ物をかむときの咀嚼音、調理などの食事の準備で生じる音、食品の包装が立てる音が含まれます。さらに、食品や飲料の商品名の響きが特定の印象を呼び起こす「音象徴」についても扱われています。

論文の最後では、音の刺激がなぜ消費行動に影響するのかという仕組みについても議論されています。そこには、影響を仲立ちする要因(媒介要因)や、影響の強さを左右する要因(調整要因)も含まれます。

主な報告とその意味

著者らは、論文で概観した研究によれば、音の刺激は消費者の飲食行動に影響を与える可能性があるとまとめています。具体的には、食べたり飲んだりする量、食べる・飲む速さ、そして何を選ぶかといった点が挙げられています。

このレビューは、食事の体験が味や見た目だけでなく、耳から入る情報とも結びついていることを、数十年にわたる研究の積み重ねから整理したものです。身の回りの音が、気づかないうちに飲食の仕方に関わっているかもしれないという視点を示しています。

原著論文の著者・所属:Mayukha Pillay(Crossmodal Research Laboratory, Department of Experimental Psychology, https://dx.doi.org/150583University of Oxford, Oxford, UK)、Charles Spence(Crossmodal Research Laboratory, Department of Experimental Psychology, https://dx.doi.org/150583University of Oxford, Oxford, UK)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mayukha Pillay, Charles Spence. Exploring the Effects of Auditory Stimuli on Consumption Behaviour (I): A Review. Multisensory Research 2026-10-06. DOI: 10.1163/22134808-bja10218. 原著ライセンス:CC BY.