この研究は、エジプト、サウジアラビアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Notulae Botanicae Horti Agrobotanici Cluj-Napoca

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

なぜ調べたのか

ウチワサボテン(Opuntia ficus-indica L. Mill.)の果実は、いわゆるプリックリーペア(和名のひとつはウチワサボテンの果実)として知られています。著者らによれば、この果実は非常に傷みやすく、収穫後の急速な劣化によって貯蔵できる期間が短く、商業的な流通も大きく制限されてしまいます。

そこで研究チームは、収穫前に葉面へ薬剤を散布する処理と、収穫後に天然素材の食べられるコーティング(可食性コーティング)を施す処理を組み合わせることで、果実の品質を高め、冷蔵条件下での貯蔵性を伸ばせるかどうかを検討しました。

どのように試したか

論文の記載によると、対象は4年生の株です。収穫前に、水(対照)、塩化カルシウム1%、またはキトサン0.5%のいずれかを散布しました。キトサンはカニやエビの殻などに含まれる成分からつくられる天然の多糖で、ここでは植物の働きを助けるバイオスティミュラントとして使われています。

収穫した果実は、続いて水、ゼラチン4%、またはモリンガ(Moringa oleifera Lam.)の葉の抽出液10%のいずれかに浸し、7±1℃・相対湿度90〜95%で40日間貯蔵しました。品質の評価は10日ごとに行われ、重量の減少、腐敗の発生、果実の硬さ、可溶性固形分(TSS、糖などの溶けている成分の量でおおまかな甘さの指標となる)、滴定酸度(TA、酸味の指標)、TSSとTAの比、そして糖の種類別の量が測定されました。

報告された主な結果

著者らの報告では、貯蔵期間はすべての測定項目に有意な影響を与え、時間の経過とともに重量減少と腐敗が増え、硬さと化学的な品質は低下しました。

一方、収穫前のキトサンまたは塩化カルシウムの処理、とくにそれを収穫後のゼラチンやモリンガ葉抽出液と組み合わせた場合には、無処理の対照と比べて重量減少と腐敗が有意に抑えられ、硬さと内部品質の指標がより高く保たれたと述べられています。

評価した処理のなかでは、収穫前のキトサンに続いて収穫後にゼラチンまたはモリンガ抽出液を用いた組み合わせが、一貫して最も果実品質を保ち、販売可能な貯蔵期間を40日まで延ばしたと報告されています。

この研究が示すこと

研究チームはこれらの結果から、収穫前のバイオスティミュラント処理と天然の可食性コーティングを組み合わせることが、ウチワサボテン果実の品質を保ち収穫後の損失を減らすうえで効果的で環境にやさしい方策であり、従来の合成化学物質による収穫後処理に代わる実用的な選択肢になると結論づけています。

傷みやすい果実をどう扱うかという課題に対して、植物の育成段階と収穫後の取り扱いを切り離さず一続きのものとして設計する、という視点を示した報告といえます。

著者:Sherif Fathy EL-Gioushy(Benha University, Faculty of Agriculture, Department of Horticulture, Benha 13736)、Mohamed A. Gendy(Benha University, Faculty of Agriculture, Department of Horticulture, Benha 13736)、Hamed elzaabalawy albadawy(Benha University, Faculty of Agriculture, Department of Horticulture, Benha 13736)、Adel Hamed Bahnasawy(Benha University, Faculty of Agriculture, Department of Agricultural Engineering, Benha 13736)、Ahmed Fathy Abd El-Khalek(Tanta University, Faculty of Agriculture, Department of Horticulture, Tanta 31527)、Saleh Mobarak Alturki(King Faisal University, College of Agricultural and Food Science, Department of Arid Land Agriculture, Al-Ahsa 31982)、Husameldin H. Mahmoud(King Faisal University, College of Agricultural and Food Science, Department of Arid Land Agriculture, Al-Ahsa 31982)、Randa A. Zarban(King Faisal University, College of Agricultural and Food Science, Department of Biotechnology, Al-Ahsa 31982)、Egbal Elmsaad(King Faisal University, College of Agricultural and Food Sciences. Department of Agricultural Systems Engineering, Al-Ahsa 31982)、Nahed M. Rashed(King Faisal University, College of Agricultural and Food Science, Department of Arid Land Agriculture, Al-Ahsa 31982)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sherif Fathy EL-Gioushy, Mohamed A. Gendy, Hamed elzaabalawy albadawy, et al. Integrated Preharvest Applications and Natural Coatings Improve Postharvest Quality and Storability of Opuntia ficus-indica L. Mill Fruits. Notulae Botanicae Horti Agrobotanici Cluj-Napoca 2026-09-11. DOI: 10.15835/nbha54315288. 原著ライセンス:CC BY.