著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:International Journal of Health Sciences
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:お腹のふくらみに関わる要因を探る
消化器の病気では、腹痛や吐き気、便通の変化に加えて、お腹が張る、ふくらむといった症状がよく見られます。論文は二つの症状を区別しています。お腹が張る、ガスがたまっているといった本人の感覚を「膨満感」と呼び、お腹周りが実際に大きくなり、見た目や測定で確かめられる状態を「腹部膨満」と呼びます。両者は同時に起こることが多いものの、いつも一緒に現れるとは限りません。
著者らによると、腹部膨満の仕組みは複雑です。腸内のガス、腸の動きや内容物が通過する速さの変化、腸の感覚の過敏さ、腸内細菌の乱れ、吸収されにくい糖質の発酵、腹部や横隔膜の筋肉の連動の変化などが関わる可能性があります。研究チームはこの点を踏まえ、消化器の病気がある患者で、食生活や便秘、運動、ストレスといった身近な要因が腹部膨満とどう関連しているかを調べました。
調べた方法
研究は2026年4月から6月にかけて、消化器の病気の患者を診る医療施設で行われました。対象は18歳以上で、意思疎通ができて質問票に回答でき、参加に同意した患者96人です。研究チームが条件に合う人を選んで参加を依頼しました。
調べた要因は、食事のとり方、食物繊維の摂取量、炭酸飲料を飲む頻度、便秘の有無、身体活動量、ストレスの程度の六つです。これらは質問票で尋ねました。腹部膨満の有無は、診察と観察によって判断しました。
この研究は、ある一時点で要因と症状を同時に調べる「横断研究」です。各要因の有無と腹部膨満の有無との間に統計的に意味のある関連があるかを、要因ごとに一つずつ検定しました。
主な結果:六つの要因すべてに関連
96人のうち、腹部膨満が見られたのは41人(42.7%)、見られなかったのは55人(57.3%)でした。
調べた六つの要因はいずれも、腹部膨満と統計的に意味のある関連を示しました。食事のとり方に問題がある人、食物繊維の摂取が少ない人、炭酸飲料をよく飲む人、便秘がある人、身体活動が少ない人、ストレスが高い人では、そうでない人より腹部膨満のある割合が高くなっていました。たとえば食物繊維の摂取が少ない人では55.1%に腹部膨満が見られ、摂取が足りている人の29.8%を上回りました。
著者らが最も強い関連と位置づけたのは便秘です。便秘がある人では66.7%に腹部膨満が見られたのに対し、便秘がない人では24.1%でした。著者らは、腸の内容物の通過が遅れて便がたまることで、消化管の中の圧力が高まるためと説明しています。そのほかの要因についても、炭酸飲料は消化管内のガスを増やしうること、ストレスは脳と腸の相互作用を通じて腸の感覚や動きに影響しうることなどを、考えられる背景として挙げています。食物繊維の作用には個人差があり、急に増やすとかえって張りが強まる人もいる点にも触れています。
研究が示すこと
この研究が示したのは、各要因と腹部膨満が同時に見られやすいという「関連」であり、どの要因が症状を引き起こすかという因果関係を確かめたものではありません。それでも著者らは、腹部膨満は一つの原因だけでは説明できない、多くの要因が絡む症状だと結論づけています。そのため患者を診る際には、一つの要因だけに注目するのではなく、食生活や便通、体の動かし方、心の状態、もとにある消化器の病気をあわせて見ることが大切だと論文は述べています。
原著論文の著者・所属:Finarti, Dian Rizeki(Academy Midwifery Banua Bina Husada, Indonesia)、Rahmat, Rezqiqah Aulia(Bosowa University, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Finarti, Dian Rizeki, Rahmat, Rezqiqah Aulia. Factors Associated With Abdominal Distension In Patients With Gastrointestinal Disorders. International Journal of Health Sciences 2026-08-18. DOI: 10.59585/ijhs.v4i3.1541. 原著ライセンス:CC BY.