この研究は、アメリカの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Journal of Dairy Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

アイスクリームやカスタード、ジェラート、ソフトクリームなどの冷菓は、栄養補給や満足感を得る目的でも広く食べられています。著者らによると、こうした製品は一般にカロリーが高めです。その背景には、米国の規格(乳脂肪分10%以上などの基準)、「心を満たす食べ物」としての味わいへの期待、そして機械による凍結、長期保存、すくいやすさや口当たりに関わる業界の慣行があるといいます。

一方で、食事から摂る砂糖を減らしたいという関心や、製造時のエネルギーを節約できる可能性があることから、著者らは加える砂糖を減らしたアイスクリームの性質を調べる価値があると考えました。砂糖を減らす場合、通常は糖アルコールなどの「凝固点降下剤」を加えます。凝固点降下剤とは、凍り始める温度を下げる物質のことで、従来の砂糖量のときと同じ凍り方を再現するために使われます。この研究は、そうした調整をあえて行わない方法を検討しています。

何を調べたか

研究チームは、加える砂糖(ショ糖)の量を重量比で17%から10%に減らしました。減った分は、比較的性質の変化をもたらしにくい充填材として水溶性コーンファイバーで補い、凍り始める温度を下げるための調整は行いませんでした。その結果、従来品よりも高い温度で凍り、溶けにくい性質をもつアイスクリームができます。

論文の題名によると、このアイスクリームについて、微細構造、消費者による受け入れられやすさ、栄養面への影響、ライフサイクルアセスメント(原料から製造・廃棄までの環境負荷を評価する手法)、保存性、エネルギー消費量を評価しました。抄録では、一般的な品質や機能に関する項目に加え、栄養、持続可能性、エネルギーに関わる項目を調べたと説明されています。

主な結果

著者らは、高融点のアイスクリームが全体として、各評価項目でおおむね良好な結果を示したと報告しています。

消費者パネルによる「総合的な好ましさ」の平均点は、従来品の7.38に対して、砂糖を減らした高融点の製品では6.23と低くなりました。それでも著者らは、得点の全体的な傾向とほかの評価結果を合わせると、この製造方法には見込みがあると述べています。特に、砂糖を減らしたことで、栄養面、エネルギー消費、全体的な持続可能性が改善する可能性があることを強調しています。

研究の意味

この研究は、砂糖を減らしたときに通常は凍り方を補う調整を行うという前提を見直し、あえて調整をせずに「溶けにくいアイスクリーム」として評価した予備的な試みです。好ましさの点数は従来品に届きませんでしたが、著者らは、栄養や製造エネルギー、環境負荷の面で利点が得られる可能性を示すものとして、この方法に一定の見込みがあると位置づけています。

著者:Sydney Camp(Department of Food and Nutritional Sciences, University of Wisconsin-Madison, Madison, 53706, USA)、Loren Smith(Department of Food and Nutritional Sciences, University of Wisconsin-Madison, Madison, 53706, USA)、Dieyckson Osvani Freire(Department of Food and Nutritional Sciences, University of Wisconsin-Madison, Madison, 53706, USA)、Stavroula N. Antonopoulos(Department of Food and Nutritional Sciences, University of Wisconsin-Madison, Madison, 53706, USA)、Faustina Sakyiwaah Sekyere(Nelson Institute for Environmental Studies, University of Wisconsin-Madison, Madison, 53706, USA)、Douglas T. Reindl(Department of Mechanical Engineering, University of Wisconsin-Madison, Madison, 53706, USA)、Andrea Hicks(Department of Civil and Environmental Engineering, University of Wisconsin-Madison, Madison, 53706)、Richard W. Hartel(Department of Food and Nutritional Sciences, University of Wisconsin-Madison, Madison, 53706, USA)、Scott A. Rankin(Department of Food and Nutritional Sciences, University of Wisconsin-Madison, Madison, 53706, USA. Electronic address: [email protected])

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sydney Camp, Loren Smith, Dieyckson Osvani Freire, et al. A preliminary assessment of high melting point, reduced sugar ice cream: Microstructure, consumer acceptance, nutritional impact, life cycle assessment, shelf-life, and energy consumption. Journal of Dairy Science 2026-10-01. DOI: 10.3168/jds.2026-29101. 原著ライセンス:CC BY.