梅雨入りを控えた6月初旬、スーパーの鮮魚コーナーでは脂のりの良いまいわしが目立ち始めます。「青魚は体にいい」と漠然と語られがちですが、実際の数値を見ると、生・干物・加工品で姿が大きく変わる興味深い食材です。今日は思い込みを一度脇に置き、実測値でイワシを眺め直してみましょう。
この時期に注目したい栄養素
夏に向かうこの時期、汗ばむ陽気とともに食欲が落ち始める方も少なくありません。そんな季節に頼りになるのが、入梅イワシとも呼ばれる脂ののったまいわしです。まいわし 生の可食部100gあたりの成分を見ると、たんぱく質19.2g、脂質9.2g、エネルギー156kcalと、肉に劣らない良質なたんぱく源であることがわかります。
注目すべきは脂肪酸の内訳です。まいわし 生のn-3系多価不飽和脂肪酸は2.10g(100gあたり)。同じ脂質量でも飽和脂肪酸は2.55gにとどまり、青魚らしい脂質構成が数字で確認できます。さらにビタミンD 32.0µg、ビタミンB12 16.0µg、α-トコフェロール(ビタミンE)2.5mgと、日射に頼りがちな栄養素や代謝に関わる成分も同時にとれるのが特徴です。最新の日本人の食事摂取基準(厚生労働省)ではビタミンDは成人で8.5µg/日が目安とされており、100gあたりでこの目安量を大きく上回る量を含む食材です。
おすすめ食品とその数値データ
「干物にすると栄養がギュッと濃縮される」とよく言われますが、これは半分本当で半分ミスリードです。めざし 生はカルシウム180mg、食塩相当量2.8g、めざし 焼きはカルシウム320mg、食塩相当量3.6g(いずれも100gあたり)。確かに焼くと水分が抜けてカルシウム値は上がりますが、同時に食塩相当量も2.8g(めざし生)から3.6g(めざし焼き)へと増えていきます。濃縮されるのは「うれしい成分」だけではない、という冷静な事実です。
カルシウムで突き抜けているのはたたみいわしで、100gあたり970mg。これはカタクチイワシ等の稚魚をすき重ねて板状に薄く干し上げた珍味で、ちりめんじゃこ(釜茹で後に乾燥させた個々のしらす)とは製法も形態も異なる別物です。水分10.7gまで乾燥させた食品であり、1枚数gという食べ方を踏まえれば、薬味的に少量を楽しむ食材だと数字からも読み取れます。コレステロールも710mgと頭から内臓まで含む特性が表れています。
もう一つの誤解は「みりん干しは甘いだけでヘルシーじゃない」というもの。みりん干し まいわしは炭水化物16.3g、エネルギー314kcalと確かに高めですが、n-3系多価不飽和脂肪酸は3.34g、ビタミンD 53.0µg(いずれも100gあたり)と、青魚らしさはむしろ残っています。まいわし 塩いわしの食塩相当量6.1gと比べれば、みりん干しの1.7gは意外にも控えめという発見もあります。
毎日の食事への取り入れ方
初夏のイワシを楽しむなら、まずは塩焼きや手開きの梅煮でまいわし 生そのものの旨みを味わうのが王道です。生のままなら食塩相当量0.2g(100gあたり)と低く、塩分管理をしたい方にも扱いやすい食材といえます。
- 朝食にはめざし 焼きを1〜2尾。ご飯と味噌汁、青菜のおひたしを添えれば、塩分は味噌汁を薄めにして調整。
- 冷奴やサラダのトッピングにたたみいわしを軽く炙って砕く。少量で香ばしさと風味が立ちます。
- お弁当にはみりん干し まいわしを。甘辛い味付けはご飯が進みますが、量はほどほどに。
より細かい成分を確かめたいときは、まいわし 生、めざし 生、めざし 焼き、みりん干し まいわし、たたみいわしの各詳細ページから、アミノ酸や微量ミネラルまで確認できます。
まとめ
「干物は塩辛いだけ」「みりん干しは甘いだけ」と一括りにせず、数字で眺めると同じイワシでもまったく異なる顔が見えてきます。入梅の時期、脂ののった一尾を選び、自分の食卓に合った形で取り入れてみてください。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。