掲載誌:Jurnal Ilmiah Kesehatan
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ここ20年ほどで、10代の食生活は大きく変わりました。砂糖、塩分、脂肪が多いのにビタミンやミネラルが少ない高カロリーの間食が身近になり、過体重や肥満の増加が多くの国で公衆衛生上の課題になっています。論文の序論では、世界保健機関(WHO)の記録として、2022年に5〜19歳の子どもと若者のうち3億9000万人以上が過体重だったことが紹介されています。インドネシアでも、2018年の全国保健調査で13〜18歳の過体重・肥満の割合が13.5%となり、2013年のほぼ2倍に増えたとされています。
インドネシアの研究チームは、こうした状況を背景に、不健康な間食の取り方と10〜19歳の若者の過体重・肥満リスクとの関係を、複数の国の研究から整理することを目指しました。著者らは、国をまたいで証拠をまとめた総説はまだ少ないと指摘しています。また、インドネシアには学校で売られる食品の栄養基準を法的に定めたルールがないことも、問題意識の一つとして挙げています。
どのように調べたか
研究チームは、2016年から2026年に発表された論文を、医学文献データベースのPubMedとGoogle Scholarで探しました。対象は、学校などに通う10〜19歳の生徒です。その中から、間食の頻度、種類、量、栄養の質などを主な要因として扱い、体格を「年齢別BMI」で評価した研究を選びました。年齢別BMIとは、成長の途中にある子どもや若者の体格を、同じ年齢の基準と比べて判断する指標です。体重や身長を本人が自己申告した研究は除きました。
選ばれた20本の論文は、5つの大陸の12か国にわたり、インドネシアの研究も6本含まれています。研究チームは、これらの結果を統計的に統合するのではなく、内容を読み比べて共通する傾向をまとめる「ナラティブ(記述的)な統合」で分析しました。
主な結果
著者らは、20本の論文から四つの共通する傾向を見いだしたと報告しています。一つ目は、間食の頻度、カロリー、栄養の質が、若者の体格と関係していたことです。たとえば米国の研究では、肥満の若者は1回の間食で平均340キロカロリーをとっており、標準体重の若者の262キロカロリーより多いという結果が紹介されています。チリの研究では、間食が中心の食事パターンを持つ若者は、他のパターンの若者に比べて過体重である見込み(オッズ)が1.86倍高いと報告されていました。この値は、いわゆる欧米型の食事パターンの1.67倍を上回っていました。著者らはこうした結果から、特定の一品よりも食事全体のパターンが重要だと読み取っています。一方、ジャカルタの高校生を対象にした研究では、間食と体格の直接の関係は統計的に有意ではありませんでした。この研究では、食事全体の質の低さや運動不足のほうが目立っていたとされています。
二つ目は、学校や家庭の食環境がリスクの大きさを左右していたことです。インドネシアの研究では、学校周辺での間食の頻度が過体重の割合と正の相関を示していました。インドの研究では、親の目の届かないところで自由に間食を買えることが、肥満の強い予測因子として挙がりました。マレーシアの研究では、世帯収入が高いことや、親がファストフードを買う習慣が体格指標の高さと関連していました。一方、若者が自分で買う場合には有意な関連がみられませんでした。
三つ目は、不健康な間食が「栄養の二重負担」につながりうることです。栄養の二重負担とは、栄養のとりすぎと不足が同時に起こる状態を指します。ポーランドやタイの研究では、乏しい食習慣が、ある若者では低体重と、別の若者では過体重と結びついていました。インドネシアの寄宿学校の研究では、カロリーは高いのに栄養の少ない間食が、主食を補うのではなく置き換えている様子が報告されています。
四つ目として、著者らは、運動を増やすよりも食事の質を改善するほうが影響が大きいと結論づけています。ネパールの研究では、体をよく動かしている若者でも、毎日のジャンクフード摂取は過体重と関連していました。中国の寄宿学校で行われた小規模な追跡研究では、学校の休暇中に間食からのカロリーが増え、体脂肪率も上がったと報告されています。
この研究が伝えること
研究チームはこれらの結果から、若者の過体重・肥満を防ぐには、間食の量を減らすだけでなく、食事全体の質を高めることが欠かせないと主張しています。あわせて、学校周辺の食環境や家庭の食品購入習慣にも目を向けるべきだとしています。具体的には、チリや英国のように、学校で売られる食品の栄養基準を定めることを、インドネシアの政策課題として挙げています。
ただし著者ら自身も述べているように、分析した20本のうち18本は一時点を調べた横断研究です。そのため、示されたのはあくまで「関連」であり、間食が肥満を引き起こすという因果関係までは確定できません。研究ごとに間食の測り方も異なり、インドネシアの研究はジャワ島に偏っています。こうした限界はあるものの、このレビューは、国や地域を越えて、間食の頻度や質と若者の体格との関連が繰り返し報告されていることを示しています。さらに、その背景には個人の選択だけでなく、学校や家庭の食環境があることを示しています。
著者:Shofia Romadhona(Universitas Mohammad Husni Thamrin)、Mamat Sukena(Universitas Mohammad Husni Thamrin)、Titi Indriyati(Universitas Mohammad Husni Thamrin)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Shofia Romadhona, Mamat Sukena, Titi Indriyati. Unhealthy Snack Consumption Patterns and the Risk of Overweight and Obesity in Adolescents: A Mini-Literature Review. Jurnal Ilmiah Kesehatan 2026-09-23. DOI: 10.37012/jik.v18i2.3663. 原著ライセンス:CC BY.