掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

捨てられてきた皮や種に目を向ける

世界で果物や野菜の生産が増えるにつれ、収穫、加工、流通、消費後の各段階で、皮、種、搾りかす、さやなどの残さが大量に出るようになりました。著者らによると、これらの多くは廃棄物として扱われ、埋め立て地に運ばれることも少なくありません。その結果、環境への負荷となるだけでなく、価値を持つかもしれない資源を失うことにもなっています。

この論文は、新たな実験を行った研究ではなく、既存の研究をもとに果物・野菜の加工で出る副産物を「ニュートラシューティカル」として活用できる可能性を検討した総説です。ニュートラシューティカルとは、食品由来の成分のうち、健康の維持や病気の予防に役立つことが期待されるものを指します。

総説が取り上げた内容

抄録によると、著者らはバナナ、かんきつ類、リンゴ、マンゴー、タマネギ、トマト、エンドウ、ジャガイモといった主要な作物の加工副産物を中心に取り上げています。

著者らは、これらの副産物がポリフェノール、フラボノイド、カロテノイドといった植物由来の成分や食物繊維などを豊富に含んでいると述べています。また、多くの研究で、これらの成分に抗酸化、抗炎症、抗糖尿病、心臓保護、抗がんといった生物学的な働きが示されてきたと紹介しています。

さらに、こうした成分を残さから効率よく取り出すための抽出方法として、従来の手法とより新しい手法の両方を論じています。加えて、廃棄物由来の原料を食品や健康食品の配合に使う際に重要となる、安全性の評価、品質の保証、規制への適合といった論点も扱っています。

研究が示す意味

著者らは、果物・野菜の加工残さを持続可能な形で有効利用することは、環境への影響を減らし、経済的な価値を高め、機能性食品の開発を促す有望な方法だと結論づけています。資源を捨てずに循環させる「循環型経済」の考え方に沿って、廃棄されてきた副産物を価値の高い原料へと転換できる可能性を示した点に、この総説の意義があります。

著者:Lalita Nemade Kaustubh Bandarkar*

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Lalita Nemade Kaustubh Bandarkar*. Nutraceutical Potential of Fruit and Vegetable Waste. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-10-12. DOI: 10.5281/zenodo.23314460. 原著ライセンス:CC BY.