著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:International Journal of Fruit Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
生食用ブドウを高品質に育てるには、枝葉の茂り方(樹冠)をどう整えるかが重要になります。研究チームは、きめ細かな樹冠管理の方法を確立するため、ブドウを支える棚の仕立て方と、主な枝から伸びる脇芽(副梢)の管理方法を組み合わせたとき、房の周りの環境、葉の働き、果実の品質がどう変わるかを調べました。
何を比べたのか
対象は、ヨーロッパブドウの品種「ビクトリア」と、アメリカ系とヨーロッパ系の交雑品種「巨峰」の2品種です。品種ごとに、仕立て方と副梢管理の2つの条件を組み合わせた試験を行いました。
仕立て方は、頭上に水平に張った棚に枝葉を平らに広げる方式(HTC)と、垣根のように縦に支えて枝葉をV字型に広げる方式(VTC)の2種類です。副梢管理は、早い時期に新梢の先端を切り詰める方法(S1)、生育に合わせて副梢を随時管理する「動的」な方法(S2)、収穫前に一度だけ葉を取り除く方法(S3)の3種類が比べられました。
著者らは、房のある高さの温度などの環境(微気象)、葉が光合成を行う速さ、光エネルギーを利用する仕組みの一つである「光化学系II」の効率、そして糖度や酸とのバランス、色素などの果実品質を評価しました。
主な結果
生育に合わせて副梢を管理するS2は、おおむね樹冠内の環境を改善し、房の周りが35℃以上の高温にさらされた累積時間を短くしたと報告されています。同時に、葉の光合成の速さと光化学系IIの効率も高まりました。
一方、果実品質の反応は品種によって異なりました。「ビクトリア」では、V字型の垣根仕立てとS2の組み合わせで、糖度と糖と酸の比率が高まる関係が見られました。「巨峰」では、水平棚とS2の組み合わせで、糖と酸の比率、赤紫色の色素であるアントシアニンの含量、ポリフェノール類の総量、果皮の色づきが良くなる関係が見られました。
複数の要因の影響を同時に調べる統計手法(二元配置分散分析)では、調べた生理や品質の指標の多くが、仕立て方、副梢管理、そして両者の組み合わせのいずれからも有意な影響を受けていたと報告されています。
研究が示すこと
この研究は、同じ副梢管理でも、どの仕立て方と組み合わせるのがよいかが品種によって変わりうることを示しています。著者らは、生育に合わせた副梢管理を品種に合った仕立て方と組み合わせることが、生食用ブドウ生産の有望な方法になりうると述べ、今回の結果を、同様の条件下で品種ごとの樹冠管理を検討するための基礎と位置づけています。
原著論文の著者・所属:Qiuyan Liu(Agriculture College of Shihezi University / Key Laboratory of Special Fruits and Vegetables Cultivation Physiology and Germplasm Resources Utilization, Shihezi, China)、Beixi Jia(Agriculture College of Shihezi University / Key Laboratory of Special Fruits and Vegetables Cultivation Physiology and Germplasm Resources Utilization, Shihezi, China)、Liangyu Zhao(Agriculture College of Shihezi University / Key Laboratory of Special Fruits and Vegetables Cultivation Physiology and Germplasm Resources Utilization, Shihezi, China)、Baolong Zhao(Agriculture College of Shihezi University / Key Laboratory of Special Fruits and Vegetables Cultivation Physiology and Germplasm Resources Utilization, Shihezi, China)、Junli Sun(Agriculture College of Shihezi University / Key Laboratory of Special Fruits and Vegetables Cultivation Physiology and Germplasm Resources Utilization, Shihezi, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Qiuyan Liu, Beixi Jia, Liangyu Zhao, et al. Physiological Responses Underlying the Interactive Effects of Trellis System and Lateral Shoot Management on Table Grape Quality. International Journal of Fruit Science 2026-10-16. DOI: 10.1080/15538362.2026.2747485. 原著ライセンス:CC BY.