6月に入ると、スーパーの野菜売り場でアスパラガスの束がひときわ目立つようになる。春から初夏にかけてが収穫の盛りで、いまはちょうど旬の中心にいる時期だ。穂先がかたくしまり、切り口がみずみずしい——そんな一束を手に取るのに、今より良い季節はしばらくない。

いまが旬、という意味

アスパラガス 若茎 生は、春から初夏にかけて地面から勢いよく伸びる若い茎を食べる野菜だ。北海道など産地によっては6月いっぱいまで旬が続く。いわゆる「走り」を過ぎて最盛期を迎えている時期にあたり、甘みとやわらかさが両立した食べごろといえる。

葉酸という数字が教えてくれること

アスパラガスの栄養面でひときわ目を引くのが葉酸の含有量だ。可食部100gあたり190µgというのは、日本人の食事摂取基準で示された成人女性(30〜49歳)の推奨量240µg/日のおよそ79%にあたる。茎を6〜7本ほど(目安で100g前後)食べるだけで、1日の推奨量の約8割近くをまかなえる計算になる。

葉酸は赤血球の形成や、胎児の発育に関わる栄養素とされ、妊娠前後の女性にとって特に意識されやすいビタミンだ。ただし水溶性のビタミンであるため、過剰摂取で危険というわけではなく、通常の食事量の範囲では過剰を心配する必要はない。むしろ「食事から足りていない」という人にとって、旬のアスパラガスは心強い選択肢になる。

さわやかな酸味の正体

アスパラガスを生でかじると感じる淡い酸味は、クエン酸とリンゴ酸という有機酸によるものだ。クエン酸はエネルギー代謝に関わる有機酸として知られており、アスパラガス100gあたり0.1g含まれている。リンゴ酸は0.2g。どちらもわずかな量だが、あの軽やかな風味の一端を担っている。

6月の食卓への取り入れ方

旬のアスパラガスを最もシンプルに楽しむなら、塩ゆでか素焼きが一番だ。穂先の繊細な甘みは、余計な味を重ねないほうが際立つ。オリーブオイルを少量からめてグリルパンで焼き、粗塩だけで食べると、季節の野菜らしい清々しさが前に出る。

  • 塩ゆで:根元から先に入れ、穂先は最後の1分だけ湯に浸すと均一にやわらかく仕上がる。
  • グリル・素焼き:半分に切ってフライパンやグリルで焼き色をつけると甘みが増す。
  • 生のまま薄切り:やわらかい穂先は生でも食べられる。ピーラーでリボン状に削いでサラダに加えると旬らしい彩りが出る。

ほかの具材との組み合わせは自由だが、淡泊な味わいが幅広い料理に馴染む。卵との相性は特によく、スクランブルエッグに混ぜ込んだり、温泉卵を添えたりするだけで、手軽な一皿が完成する。

今週の野菜かごに

エネルギーは100gあたり21kcalと軽く、食物繊維も100gあたり1.8g(成人女性の1日の目標量の10%相当)含まれている。食事のボリュームを出しながら全体のカロリーを抑えたいときにも使いやすい野菜だ。

旬の盛りは長くない。6月のうちに、穂先がしゃきっとした束を手に取って、シンプルな食べ方で季節を味わってほしい。市場に出回る量が多く、質も値段も今がいちばん良い時期——それだけで、今週の野菜かごに入れる理由としては十分だと思う。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準文部科学省 食品成分データベース消費者庁食品安全委員会

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。