この研究は、ドイツの研究機関の研究論文です。

掲載誌:ACS Food Science & Technology

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

オレガノは、シソ科ハナハッカ属(Origanum)の植物の乾燥した葉を指し、料理用ハーブとして世界中で広く使われています。この属の植物は葉に精油を多く含む芳香性のハーブで、その香りは揮発性の成分に由来します。

この研究で著者らが取り組んだのは、こうした揮発性成分の全体像(原著では「ボラティローム」と呼ばれる、その植物が放つ揮発性成分のまとまりを指す言葉です)を測ることで、オレガノの種類を見分けられるか、そしてオレガノ以外の葉が混ぜられている場合にそれを検出できるかという問題です。評価の対象となったのは、ヘッドスペース・ガスクロマトグラフィー・イオン移動度分析法(HS-GC-IMS)という手法です。これは、試料の上部にたまった気体(ヘッドスペース)に含まれる成分を分離し、イオンの動きやすさの違いを使って識別する分析方法です。

何を調べたか

著者らは、ハナハッカ属の5つの種および亜種を管理された条件で栽培し、6週間にわたってHS-GC-IMSで分析しました。検出された成分が何であるかを特定する作業には、質量分析法(MS)による裏づけを併用しています。

真正性(表示どおりの品もので、他のものが混ぜられていないか)を確かめる部分では、粉砕したオレガノにマジョラム、マートル、タイム、オリーブ、またはハンニチバナ科のロックローズの葉を混ぜた試料を用意し、混ぜ物を示す指標となる物質を見つけられるかどうかを検討しました。

報告された主な結果

分析法の性能について、著者らは繰り返し測定のばらつき(相対標準偏差)が5%未満と良好であり、日や条件を変えて測定した場合の精度も12.8%未満で許容できる範囲だったと報告しています。また、栽培された植物が示す香り成分の組み合わせは、6週間を通じて安定していました。

種による違いも明確に示されました。オレガノ特有の香りに関わるカルバクロールやチモールという成分、およびセスキテルペン類の含有量に、種のあいだではっきりした差が見られたと報告されています。

一方、混ぜ物の検出については結果が分かれました。著者らによれば、指標となりうる物質が見つかったのはマジョラムとマートルの場合に限られ、タイム、オリーブ、ロックローズについては同様の指標物質を見いだすことはできませんでした。

この研究が示すこと

著者らは、HS-GC-IMSがハナハッカ属の揮発性成分の全体像を捉え、種を特徴づけるための、感度が高く費用のかからない手法であると結論づけています。ただし混ぜ物の検出に関しては、今回検討された5種類の葉のうち一部についてのみ指標が得られたという限定つきの結果です。

香りという、これまで人の感覚に頼りがちだった性質を測定可能な数値に置き換えることで、ハーブの種類の見分けや品質の確認に客観的な手がかりが得られる——この研究が示しているのは、そうした方向性の一つの検証結果です。

著者:Modestus Wigger(Hamm-Lippstadt University of Applied Sciences , , ,)、Phil Carbow(Hamm-Lippstadt University of Applied Sciences , , ,)、Daria Garder(Hamm-Lippstadt University of Applied Sciences , , ,)、Silke Hillebrand(Symrise AG , ,)、Ursula Telgheder(University of Duisburg-Essen , , ,)、Stefanie Sielemann(Hamm-Lippstadt University of Applied Sciences , , ,)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Modestus Wigger, Phil Carbow, Daria Garder, et al. Gas Chromatography-Ion Mobility Spectrometry for Characterizing Different Species of Origanum and Detecting Blends of Its Products. ACS Food Science & Technology 2026-09-11. DOI: 10.1021/acsfoodscitech.6c00607. 原著ライセンス:CC BY.