食品成分表の数字を並べると、同じ「発酵食品」というカテゴリの中に、塩分含有量に大きな開きがある。米みそ(淡色辛みそ)の食塩相当量は100gあたり12.4g、こいくちしょうゆは14.5g。一方、糸引き納豆は0g。この幅を把握しておくことが、一日の塩分管理につながる。

調味料としての発酵食品——高濃度塩分の「使い方」

みそもしょうゆも、そのままでは食べない。大さじ1杯という単位で料理に溶け込む調味料だ。みそ大さじ1杯(約17g)に含まれる食塩相当量は約2.1g、しょうゆ大さじ1杯(約18ml)では約2.6gになる。日本人の食事摂取基準が示す食塩相当量の目標量は成人女性で1日6.5g未満、成人男性で7.5g未満(年齢・性別で異なる。詳しくは同基準を参照)。つまり、みそ汁一杯(みそ大さじ1杯相当、約17g)と、おかずへのしょうゆ大さじ1杯(約18ml)を合わせると、女性の目標値(6.5g未満)の約72%、男性(7.5g未満)の約63%に達する計算になる。

100gあたりの数字が大きいのは、それだけ高濃度で塩分が詰まっているからだ。少量で風味を出せる反面、使いすぎれば一食で塩分が積み上がる。発酵食品を一括りに語る前に、みそとしょうゆについては「少量で機能する調味料」という側面を確認しておきたい。

塩分ゼロの発酵食品——納豆が持つ密度

糸引き納豆は食塩相当量0g。発酵食品でありながら製造過程で食塩を使わないため、塩分の心配がない。1パック(約40g)あたりで見ると、たんぱく質は約6.6g(女性30〜49歳の推奨量50g/日の約13%)、食物繊維は約3.8g。100gあたりで換算するとたんぱく質16.5g(推奨量の約33%)、食物繊維は9.5gに達するが、一般的な1パック(40g)基準では前者の数値が実態に近い。塩分の負担なくたんぱく質と食物繊維をまとめてとれる食品として際立っている。

ビタミンKについては、1パック(40g)あたり約240µg含まれる(100gあたり600µgをもとに算出)。女性30〜49歳の目安量150µg/日と比べると、1パックで目安量の約1.6倍に相当する水準だ。ビタミンKは正常な血液凝固を維持し、骨の形成にも関わる栄養素とされている。ワルファリン(血液を固まりにくくする薬)を服用中の方は摂取量に注意が必要なため、該当する方は医師や薬剤師に確認を。また、納豆はプリン体を含む食品でもあるため、尿酸値が高い方や痛風リスクのある方は摂取量に留意していただきたい。

カリウムは100gあたり660mg含む。カリウムはナトリウムとともに体内の水分バランスや浸透圧の調節に関わるミネラルであり、日々の食事の中で意識して摂りたい成分のひとつだ。

甘酒——発酵のやさしさと「糖」への目線

甘酒(米こうじ由来)は食塩相当量0.2g/100g、アルコールをほとんど含まない飲み物だ。エネルギーは76kcal/100g、主成分は炭水化物18.3g。コップ半量程度(100ml前後)で手軽に飲める。塩分が低く、食欲が落ちているときのエネルギー補給の選択肢になりうる。ただし糖質を含むため、糖尿病や血糖値の管理が必要な方には量の調整が求められる。また妊婦・授乳中の方・子どもが利用する場合は、念のため医師や管理栄養士に相談することを勧めたい。飲む量と頻度は、体調や目的に応じて意識しておきたい。

使い分けの軸——「少量で機能する高塩分」と「量をとれる無塩分」

みそ・しょうゆは塩分が高いが、少量で料理の味をととのえる調味料として機能する。問題は「気づかないうちに積み上がる」点だ。みそ汁の回数を一日一杯に絞る、しょうゆはかけるより「つける」——こうした使い方の工夫が塩分管理の入り口になる。

一方、納豆はたんぱく質・食物繊維・ビタミンKを塩分ゼロで届ける。1パック(40g)を付属のたれなしで食べれば、食塩相当量はほぼゼロのまま。たれをかける場合はその分の塩分(たれに含まれる食塩)が加わる点を念頭に置きたい。納豆の栄養価は際立っているが、特定の食品に偏らず多様な食品との組み合わせを心がけることが、食事全体のバランスにつながる。甘酒は塩分をほぼ含まない飲み物として、みそ・しょうゆを多く使う食事の場面で飲み物の選択肢に加えることができる。ただしエネルギーと糖質を含むため、量の調整は必要だ。

みそ・しょうゆ・納豆・甘酒をならべたとき、食塩相当量はゼロのものから14.5gのものまで大きく開く。「発酵食品」とひとくくりにする前に、成分表の数字を一度確かめてみる価値がある。

※本記事に記載する栄養素のはたらきに関する記述は一般的な知識に基づくものであり、特定の食品の効果・効能を示すものではありません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準