「脂質」と聞くと、つい身構えてしまう人も多いのではないでしょうか。けれど脂質は、エネルギー源であると同時に、脂溶性ビタミンの運び手でもある大切な成分です。今回は、脂質の量も質もまったく異なる5つの食品を、日本食品標準成分表(八訂)の数値で読み比べてみます。
栄養データで見る特徴
まず脂質の純度で群を抜くのがとうもろこし油です。可食部100gあたり脂質100g、エネルギー884kcalと、ほぼ脂質だけでできた食品。注目は多価不飽和脂肪酸が51.58g、うちn-6系が50.82gと大半を占める点で、α-トコフェロール17.0mg、γ-トコフェロール70.0mgというビタミンE(トコフェロール)の数値も特徴的です。
動物性の脂質の代表は輸入牛肉リブロースの脂身(生)。脂質73.1g、エネルギー653kcalで、飽和脂肪酸34.40g、一価不飽和脂肪酸28.13gと、飽和・一価が中心。植物油との脂肪酸構成の違いがはっきり出ています。コレステロールは71mgです。
小麦からつくる油ふは、東北地方でなじみのある揚げ麩。脂質35.3g、たんぱく質22.7g、炭水化物34.4gと三大栄養素がバランスよく同居し、エネルギーは547kcal。揚げる工程ゆえγ-トコフェロール13.0mgを含みます。
対照的に、雑穀のきび(精白粒)は脂質3.3gと控えめで、炭水化物70.9g、たんぱく質11.3gの穀物らしい構成。ビタミンB1が0.34mgと穀物のなかでも目を引きます。はす(成熟・乾)は脂質2.3gながら、食物繊維総量10.3g(うち不溶性9.0g)、カリウム1300mg、マグネシウム200mgと、乾燥による濃縮で無機質が際立ちます。
食べ合わせ・活用のポイント
とうもろこし油は加熱に使いやすく、炒め物やドレッシングに少量で十分にコクが出ます。脂質100gと高エネルギーなので、使う量を意識するのが上手な付き合い方です。
油ふは煮汁を含むと驚くほどふくらみ、丼や卵とじにすると主菜級の存在感に。たんぱく質22.7gを含むので、食べごたえのある一品になります。きび(精白粒)は白米に混ぜて炊くだけで、彩りと素朴な甘みが加わります。
はす(成熟・乾)は水で戻してスープや甘煮に。不溶性食物繊維9.0gが主体で、煮込み料理に深みを与えます。なお食物繊維は水溶性と不溶性で性質が異なり、不溶性は水を含んでかさを増す性質が知られています。
選び方・注意点
油は開封後に酸化が進みやすいため、とうもろこし油は光を避けて保管し、早めに使い切るのがおすすめです。輸入牛肉リブロースの脂身(生)は飽和脂肪酸34.40gと豊富なので、料理全体の脂質量を見ながら量を調整しましょう。脂質と全体のバランスは、最新の日本人の食事摂取基準(厚生労働省)も参考になります。乾物のはす(成熟・乾)や油ふは湿気を避けて保存を。各食品の詳しい数値は食品群一覧からも確認できます。
同じ「脂質」でも、その量と脂肪酸の構成は食品ごとにまったく違います。純度の高い植物油、飽和脂肪酸が中心の牛脂身、三大栄養素が同居する揚げ麩、そして脂質は少なくとも無機質や食物繊維で個性を放つ穀物と種子。数字を知れば、毎日の選択がもっと面白くなります。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータをもとに作成しました。