著者の所属・活動拠点の国は、マレーシア、ケニアです。

掲載誌:Food Science & Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ダガー(Dagaa)と呼ばれる小魚は、重要なたんぱく源です。一方で、漁獲から流通までの過程では大きな損失が生じ、とくに加工段階での損失が課題とされています。小規模漁業では、塩をまぶす、ゆでる、天日で干すといった方法で加工されていますが、これらが品質やエネルギー効率にどう影響するかは、十分に調べられていませんでした。

研究チームは、塩漬け、ゆで、乾燥を組み合わせた加工が、ダガーの栄養、微生物、形や大きさなどの物理的な性質にどう影響するかを評価しました。あわせて、加工に必要なエネルギーの効率も調べました。

何を比べたのか

比較したのは4つの条件です。加工前の生の魚、塩をしてゆでずに乾燥させたもの、そして塩水でゆでてから乾燥させたものです。ゆでてから乾燥させる条件では、ゆで時間を12分と15分の2通りに分けました。

これらの条件について、栄養成分、微生物の数、魚の大きさや形、加工中の損失を比べました。さらに、ゆでる工程で使う薪の量も調べています。

主な結果

抄録によると、塩水で下ゆでした魚は、ゆでずに塩をして干した魚に比べて、たんぱく質がより多く保たれました。微生物の数も減り、規制で許容される基準を下回りました。ただし、ゆで時間を12分から15分に延ばすと、たんぱく質の含有量は有意に減少しました。乾燥によって栄養成分の濃度は高まり、その傾向は下ゆでした魚でとくに目立ちました。

一方で、塩水でゆでると魚は小さくなり、形が変わり、崩れやすくなりました。その結果、3%の原料損失が生じたと報告されています。ゆでずに塩をして天日干しした魚は形が保たれ、かさ密度(一定の容積あたりの重さ)は低くなりました。ただし、干し場の表面に張り付きやすくなりました。

ゆでる工程で使った薪は、ダガー1キログラムあたり平均で、12分の条件では0.17キログラム、15分の条件では0.20キログラムでした。研究チームはこれをもとに、年間の薪消費量をそれぞれ42.5トンと50トンと推計しました。著者らは、この結果がエネルギー需要の大きさと、環境への影響の可能性を示すと述べています。

研究が示すこと

著者らは、85〜90℃の塩水で12分ゆでてから乾燥させる方法が、栄養の保持、微生物面の安全性、製品の品質、乾燥の効率、薪の消費削減のバランスが最もよいと結論づけています。

抄録の報告では、下ゆではたんぱく質の保持と微生物の減少に役立つ一方、ゆで時間を延ばすとたんぱく質の含有量が減り、薪の使用量も増えました。この研究は、小規模漁業で行われている身近な加工手順でも、ゆで時間などの条件の違いが品質と燃料の使用量の両方を左右することを示しています。

原著論文の著者・所属:Patrick Ngwenyama(WorldFish Center Bayan Lepas Penang Malaysia)、Patrick Kitabi(Coastal & Marine Resource Development Mombasa Kenya)、Derrick Tunje(Coastal & Marine Resource Development Mombasa Kenya)、Emmanuel Masoud(Coastal & Marine Resource Development Mombasa Kenya)、Pamela Odhiambo(Coastal & Marine Resource Development Mombasa Kenya)、Aditya Parmar(WorldFish Center Bayan Lepas Penang Malaysia)、Patrick Kimani(Coastal & Marine Resource Development Mombasa Kenya)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Patrick Ngwenyama, Patrick Kitabi, Derrick Tunje, et al. Effects of Processing Practices (Boiling and Drying) on the Nutritional, Microbial, and Physical Quality Attributes of Small Fish ( Dagaa ) in Small‐Scale Fishery Systems. Food Science & Nutrition 2026-10-01. DOI: 10.1002/fsn3.72504. 原著ライセンス:CC BY.