ひきわり納豆には、食物繊維総量が100gあたり5.9g含まれている。1パックは約40gなので、実際に食べる量では2g強にあたる。同じ発酵食品でも、米にこうじ菌を繁殖させた米こうじは食物繊維総量が100gあたり1.4gで、大さじ1(約8g)では0.1g程度とごくわずかになる。「発酵食品だから腸にいい」とひとくくりにする前に、まず何がどれだけ入っているかを数字で見ておきたい。

納豆菌と麹菌、そもそも別の菌

ひきわり納豆は納豆菌による発酵食品で、たんぱく質16.6g・脂質10g・炭水化物10.5g・食物繊維総量5.9g(可食部100gあたり)という成分を持つ。一方の米こうじはこうじ菌によるもので、みそ・甘酒・日本酒の原料になる。同じ「発酵食品」という言葉でくくられがちだが、働く菌も、できあがる成分の中身もまったく別物だ。米こうじはでん粉が100gあたり44.3g(大さじ1では約3.5g)を占め、消化されてエネルギー源になる多糖として働く。ここには食物繊維はほとんど期待できない。

麹菌からできる調味料たちも見てみる

米こうじを使った調味料にも目を向けると、味の対比がさらにはっきりする。同じ大豆由来でもひしおみそは食塩相当量が100gあたり4.8gと、納豆の食塩相当量0gとは対照的だ。食塩相当量は日本人の食事摂取基準で成人(30〜49歳)の目標量が男性7.5g未満・女性6.5g未満とされており、みそやしょうゆ系の調味料は使う量に気を配りたい食品にあたる。米こうじを原料にした純米酒も、こうじ菌の働きから生まれる発酵食品の一つだ。一方、みりん風調味料は、ぶどう糖や水あめなどの糖分に調味成分を加えて本みりんの風味に近づけたもので、こうじ発酵によるものではなく、甘みづけに使う調味料だ。いずれにせよ、これらは食物繊維の観点では脇役で、腸活の主役にはなりにくい。

食物繊維で見ると、実は主役は別にいる

ここで意外な事実がある。今回並べた中で食物繊維総量が最も豊かなのは、発酵食品ではなくオートミールだった。100gあたり9.4gの食物繊維総量のうち、3.2gは水溶性食物繊維が占める。水溶性食物繊維は水に溶けて腸内をゆっくり移動する性質を持ち、コレステロールの腸での吸収を抑える方向に働くとされる食物繊維だ。ただし、これは栄養素の一般的な働きについての記述であり、特定の食品を摂ることで健康状態が変化することを示すものではない。カップ1杯(約80g)に換算すると食物繊維総量は約7.5g、水溶性食物繊維は約2.6gになる。発酵食品どうしを比べていたはずが、腸活の視点で数字を並べ直すと、発酵していない穀物加工品のほうが繊維量では上をいく、という一段の裏切りがここにある。食物繊維は日本人の食事摂取基準で成人(30〜49歳)の目標量が男性22g・女性18gとされており、納豆・オートミールのどちらも日々の不足分を補う候補になる。

毎日の食卓での組み合わせ方

ひきわり納豆は1パック約40gが目安量で、食物繊維は2g強と少量ながら効率よく摂れる食品だ。ただし納豆に含まれるビタミンKは100gあたり930µgと多く、血液を固まりにくくする薬(ワーファリンなど抗凝固薬)を服用している場合は、薬の作用に影響するとされるため摂取量に注意が必要とされる。持病で服薬中の人は、ここだけは意識しておきたい。そのうえで、朝食に納豆をご飯にのせ、昼か夜にオートミールを取り入れるなど、菌の種類も繊維の性質も異なる食品を一日の中で組み合わせると、腸活の引き出しが自然と増える。米こうじ由来のみそや甘味づけのみりん風調味料は調味料として少量使う分には、塩分や糖質の面で神経質になりすぎる必要はない。

まとめ

納豆菌とこうじ菌は同じ「発酵」という言葉でくくられても、生み出す成分はまったく違う顔を見せる。ひきわり納豆はたんぱく質と食物繊維を併せ持つ発酵食品であり、米こうじやそれを使った調味料は糖質や塩分の運び手としての性格が強い。そして食物繊維の量だけで見れば、発酵していないオートミールが静かに上をいく。発酵食品を「腸にいいから」とひとまとめにせず、何がどれだけ入っているかを数字で確かめる。そのひと手間が、次に成分表を開いたときの発見につながっていく。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

※本記事は特定の食品の効果・効能を示すものではありません。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準