この研究は、トルコの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Frontiers in Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
病院や警備、交通、工場、サービス業などでは、夜間や交代制の勤務が欠かせません。日中以外の時間帯に働くと、食事の時間が不規則になったり、勤務中に食べ物を手に入れにくくなったりします。研究チームは、こうした働き方の人にとって、時間や場所を選ばずに料理を届けてもらえるオンラインのフード注文サービスが、特に身近な選択肢になっているのではないかと考えました。
一方で、栄養についての知識があれば、注文サービスで示される料理や情報をより慎重に評価できる可能性があります。ただし、知識があっても、便利さや価格、時間の制約などによって実際の選択が左右されることも知られています。勤務シフト、栄養の知識、オンラインのフード注文の三つを、シフト勤務者を含めて同時に調べた研究はこれまで少なかったといいます。
そこで研究チームは、勤務形態の異なる成人を対象に、栄養の知識とオンラインのフード注文に対する態度との関係を調べました。
どのように調べたか
調査はトルコで働く18〜64歳の成人352人を対象に、オンラインのアンケートで行われました。参加者はサービス業、航空、繊維、警備、食品などの職場のネットワークを通じて募集されました。食事療法が必要な病気がある人や、医師から食事制限を指示されている人は対象から除かれています。
勤務形態は、本人の申告により「日勤固定」「夕方勤務固定(午後から深夜まで)」「夜勤固定(夜から朝まで)」「交代制」の四つに分けられました。栄養の知識は、成人向けの既存の尺度を使い、「基本的な栄養と食品・健康の関係についての知識」と「食品の選び方に関する得点」の二つの側面から測りました。オンラインのフード注文に対する態度は、注文サイトの質の評価、時間の節約、手頃さの三つの側面を含む尺度で測り、合計点が高いほど注文サービスを好意的に捉えていることを示します。
この研究は、ある一時点での状況を調べる横断研究です。そのため、見つかったのは項目どうしの関連であり、どちらが原因でどちらが結果かを示すものではないと著者らは述べています。
主な結果
参加者の84.7%が、勤務日には食事のパターンが変わると答えました。最もよく注文する料理はファストフードで、64.8%を占めました。注文時に栄養情報を確認すると答えた人は約11%にとどまり、半数以上は確認しないと回答しています。
勤務形態による違いを見ると、夜勤固定の人は、オンライン注文への態度の合計点(15〜75点)が夕方勤務固定の人より高く、平均でおよそ58.7点と50.1点でした。夜勤固定の人は、時間の節約という面では日勤固定の人より、手頃さという面では夕方勤務固定の人より、注文サービスを高く評価していました。一方、栄養の知識の得点には、勤務形態による明確な差は見られませんでした。
利用の仕方では、日勤固定以外のシフト勤務者は、使っているアプリの数こそ日勤固定の人と変わらなかったものの、注文の頻度が高く、アプリに費やす時間が長く、自宅と職場の両方で使う人の割合も高い傾向がありました。よく注文する料理の種類や、栄養情報を確認するかどうかには、勤務形態による明確な差はありませんでした。
年齢や性別などをあわせて考慮した分析では、年齢が高いほど、また基本的な栄養と食品・健康の知識の得点が高いほど、注文サービスへの態度は控えめでした。反対に、食品の選び方に関する得点が高い人ほど、態度は好意的でした。夜勤固定の人は、日勤固定の人より態度の得点が約4.1点高い結果でした。ただし、これらの要因を合わせても、態度の個人差のうち説明できたのは11.6%でした。さらに、夜勤固定と態度の関係が、食品の選び方に関する得点の高低によって変わるかも調べましたが、そのような変化は統計的に確認されませんでした。
この研究が示すこと
著者らは、オンラインのフード注文に対する態度は、栄養の知識だけでは説明できず、勤務シフトの形、年齢、食品の選び方の傾向もあわせて考える必要があると結論づけています。特に夜勤固定で働く人は、知識の水準には差がないまま、時間の節約や手頃さの点で注文サービスを好意的に捉えている傾向が見られました。働く時間帯という生活の条件が、食事の手段に対する見方と結びついていることをうかがわせる結果です。
著者:Tuğçe Özlü Karahan(Hamidiye Faculty of Health Sciences, Department of Nutrition and Dietetics, University of Health Sciences Türkiye)、Aslı Akbeniz(Faculty of Health Sciences, Department of Nutrition and Dietetics, Istanbul Bilgi University)、Gamze Çavusoglu(Faculty of Health Sciences, Department of Nutrition and Dietetics, Istanbul Bilgi University)、Hümeyra Kara(Faculty of Health Sciences, Department of Nutrition and Dietetics, Istanbul Bilgi University)、Ceren Ergünden(Faculty of Health Sciences, Department of Nutrition and Dietetics, Istanbul Bilgi University)、Emre Batuhan Kenger(Faculty of Health Sciences, Department of Nutrition and Dietetics, Fenerbahçe University)、Hati̇ce Merve Bayram(Faculty of Health Sciences, Department of Nutrition and Dietetics, Istanbul Gelisim University)、Arda Öztürkcan(Faculty of Health Sciences, Department of Nutrition and Dietetics, Istanbul Gelisim University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Tuğçe Özlü Karahan, Aslı Akbeniz, Gamze Çavusoglu, et al. Shift work in the digital food environment: associations with nutrition knowledge and online food ordering attitudes. Frontiers in Nutrition 2026-10-07. DOI: 10.3389/fnut.2026.1958118. 原著ライセンス:CC BY.