著者の所属・活動拠点の国は、インドです。

掲載誌:Journal of Scientific Research and Reports

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

米の精米では、精米前に水と熱を加える「水熱処理」が従来から使われ、精米で得られる米の量(精米歩留まり)を高める方法とされてきました。研究チームは、マイクロ波を使った精米前処理が、精米歩留まりを高めつつ処理時間や水の使用量を減らせる代替手段になりうる点に着目しました。

この研究では、米の品種「パンジャブ・バスマティ7(PB7)」を対象に、マイクロ波前処理の条件が精米の結果や米の品質にどう影響するかを調べ、適した処理条件を探りました。

何をどのように調べたか

著者らが変化させた条件は三つです。処理前に米へ持たせる水分量(調湿水分、湿量基準)、マイクロ波の出力の強さ(出力レベル)、そしてマイクロ波を当てる時間(処理時間)です。

実験は、複数の条件を効率よく組み合わせて試す「中心複合計画」と呼ばれる方法で、各条件を3段階に設定した計17回の試験として行われました。結果の分析には「応答曲面法」が用いられました。これは、条件の組み合わせと結果の関係を数式(ここでは二次の多項式)で表し、最もよい条件を見つけるための統計的な手法です。

評価した項目は、もみ殻を除いた玄米として得られる割合(玄米収率)、精米後に割れずに残った米の割合(整粒収率)、割れた米の割合(砕米率)、米粒の表面温度、処理による米粒の色の変化、精米後の米の色の変化、米の硬さ、炊飯にかかわる指標(炊飯係数)の8つです。

主な結果

論文によると、玄米収率、整粒収率、砕米率、米粒の色の変化、精米後の色の変化、硬さの6項目については、作成した数式モデルが統計的に有意でした。一方、米粒の表面温度と炊飯係数については、モデルは有意ではありませんでした。有意だったすべてのモデルで、最も大きく影響した条件は処理時間だったと報告されています。

数値計算による最適化の結果、最適条件は調湿水分12%、マイクロ波出力レベル60%、処理時間120秒とされました。複数の目標をどの程度同時に満たせるかを示す総合的な望ましさ(総合満足度)は63.80%でした。

この条件でモデルが予測した値は、玄米収率78.33%、整粒収率59.58%、砕米率13.75%などでした。実際にこの条件で実験したところ、玄米収率77.45%、整粒収率58.86%、砕米率13.90%となり、色の変化や硬さを含む各項目で、予測値とのずれは0.59〜2.94%の範囲だったと報告されています。

この研究が示すこと

著者らは、予測と実験結果が近かったことから、応答曲面法によるモデルはPB7のマイクロ波精米前処理の条件を最適化するうえで妥当であると結論づけています。特定の品種について、水分・出力・時間という三つの条件の組み合わせと精米結果の関係を整理し、その中でも処理時間が重要な要因であることを示した点に、この研究の意味があります。

原著論文の著者・所属:Bishal Das(Department of Processing and Food Engineering, PAU, Ludhiana, India)、S. K. Gupta(Department of Processing and Food Engineering, PAU, Ludhiana, India)、M. S. Alam(Department of Processing and Food Engineering, PAU, Ludhiana, India)、Chandan Solanki(Food Grains and Oilseeds Processing Division, ICAR-Central Institute of Post Harvest Engineering and Technology, Ludhiana, Punjab, India)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Bishal Das, S. K. Gupta, M. S. Alam, et al. Efficacy and Optimization of Microwave Assisted Pre-treatment Process Parameters for Enhanced Milling Recovery of Punjab Basmati 7. Journal of Scientific Research and Reports 2026-10-14. DOI: 10.9734/jsrr/2026/v32i104616. 原著ライセンス:CC BY.