北海道といえばじゃがいもやとうもろこしを思い浮かべる人も多いが、実はアスパラガス 若茎 生の出荷量でも国内トップの産地であることは意外と知られていない。平成29年の統計では北海道が3110トンで首位、長野2390トン、佐賀2220トン、熊本1890トンと続く。全国的な旬は3〜6月ごろとされるが、夏採りは5月ごろから始まり、冷涼な気候で育つ北海道産は初夏から盛りを迎える。露地ものが出回る今の時期は、みずみずしい一本に出会いやすい。
アスパラガスが少し値の張る野菜であることには理由がある。種をまいてから収穫までに3年もかかり、しかも連作ができない。さらに鮮度が落ちやすく輸送コストもかさむ。手間と時間をかけて育てられた一本を、旬の時期にみずみずしいまま味わえるのは贅沢な体験だといえる。
100gあたりに詰まった葉酸の量
栄養面で注目したいのは葉酸だ。アスパラガス 若茎 生は可食部100gあたり葉酸を190µg含む。女性(30〜49歳)の1日推奨量240µgと比べると、その79%にあたる量だ。目安量として1本=20gとすると、一本あたりおよそ38µg。数本を副菜として食べれば、それだけで1日に必要な葉酸のかなりの部分に近づく計算になる。葉酸は水溶性のビタミンB群の一種で、細胞の遺伝情報であるDNAの合成に関わる補酵素として働き、赤血球の形成や胎児の発育を支えるとされる栄養素だ。妊娠期に意識してとりたい成分としても知られており、旬で味も栄養も充実したこの時期に食卓へ取り入れやすいのはうれしい偶然といえる。なお葉酸には耐容上限量が設定されているが、通常の食事でとる量であれば心配はいらない。※特定の食品の効果を示すものではありません。
ちなみに成分表にはアスパラガスの品種や産地ごとの個別収録はなく、ここで見ている数値は「アスパラガス 若茎 生」という一般的なアスパラガスの実測値である。とはいえ、緑のアスパラガスは日に当てずに栽培する白いホワイトアスパラガスよりも栄養価が高いとされる。北海道の畑で育つグリーンアスパラガスは、香りや旨味だけでなく栄養の面でも注目したい選択だといえそうだ。穂先にはルチンという成分も含まれ、血管をしなやかに保つ働きがあるとされている。
穂先をいたわる、旬ならではの食べ方
旬の露地栽培アスパラガスは色味が濃く、香りや旨味がひときわ強い。せっかくの一本を活かすなら、下処理では穂先をいたわりながら扱いたい。根元の硬い部分だけ薄く皮をむき、さっと塩ゆでにしてバターやオリーブオイルをからめるだけでも、素材の甘みがしっかり感じられる。グリルで軽く焦げ目をつけたり、豚肉で巻いて焼いたりするのも定番だが、鮮度のよい旬の一本なら、シンプルな調理ほど味の違いが際立つ。
食べきれない分は、下ゆでして水につけるか、生のままペーパーで包んで冷蔵すれば生で5日、ゆでれば4日ほど持つ。さらに長く楽しみたいときは生のまま冷凍しておけば1カ月ほど保存でき、使うときは水につけて30秒ほどで包丁が入るくらいまで解凍できる。旬の時期にまとめて手に入れて、少しずつ冷凍で楽しむのも一つの手だ。
今だからこそ味わいたい一本
北海道アスパラガスは、太陽をたっぷり浴びて育つグリーンならではの色の濃さと、旬ならではの香りの強さを兼ね備えている。詳しい年齢・性別ごとの推奨量は日本人の食事摂取基準で確認できる。旬の盛りは長くは続かない。太くてみずみずしい一本に出会えるうちに、シンプルな調理で味わっておきたい。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準・e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」(厚生労働省)