この研究は、ベルギー、ベトナムの研究機関の研究論文です。
掲載誌:World Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
収入や店までの距離だけでは見えない食品の買い方
都市化が進むハノイの郊外では、伝統的な生鮮市場や露天商と、スーパーやコンビニなどが共存しています。研究チームは、このような地域で、世帯がどのくらいの頻度で食品を買い、どのような理由で購入先を選ぶのかが、食事の多様性とどう関係しているかを調べました。収入や住む場所だけでなく、日々の買い物の習慣に目を向けた研究です。
研究チームは2024年9~11月に調査を行い、ハノイ郊外の11地区に暮らす157世帯の回答を分析しました。購入先ごとの買い物頻度と店を選ぶ理由が似た世帯をまとめ、「購入頻度が高い世帯」71世帯と「購入頻度が低い世帯」86世帯に分け、所得、食品支出、移動手段、店への行きやすさ、食事の内容などを比較しました。
どちらのグループでも生鮮市場が中心
購入頻度が高いグループでは、多くの世帯が生鮮市場で毎日買い物をしていました。購入頻度が低いグループでも生鮮市場は主要な購入先でしたが、利用は平均で月5回でした。すべての種類の購入先を合わせると、食品の購入回数は、高頻度のグループで平均月55回、低頻度のグループで月14回でした。
店を選ぶ理由は両グループでおおむね共通しており、近さ、買いやすい価格、品ぞろえが重視されていました。特に近さが主要な理由だった一方、店への距離に基づく行きやすさには、グループ間で統計的に有意な差は報告されませんでした。また、購入頻度が高いグループは、低いグループより世帯員1人当たりの平均所得が低いという特徴がありました。
食事の多様性は、何を食べたかと合わせて読む
研究チームは、直前の24時間に世帯が食べた食品群の種類を数える「世帯食事多様性スコア」を用いました。平均スコアは購入頻度が高いグループで6.38、低いグループで5.78でした。ただし、この差は統計的に有意ではありませんでした。
食品群別に見ると、購入頻度が高いグループでは、油脂類と菓子・甘味類を食べたと報告する割合が有意に高くなっていました。著者らは、スコアの平均値の違いは、生鮮食品や栄養に富む食品の摂取が増えたというより、主にこうした食品群の違いによるものと説明しています。
この研究が示すのは、食品の入手しやすさを理解するには、所得や店までの距離に加え、実際の買い物の習慣を見ることが重要だという点です。また、食べた食品群の種類が多いことを、そのまま食事の質の高さと捉えず、どの食品群が違いを生んでいるかを合わせて読む必要性も伝えています。
著者:Angel Roberto Riofrio Jacinto(Department of Earth & Environmental Sciences, KU Leuven, Leuven, Belgium)、Lisa‐Marie Hemerijckx(Department of Earth & Environmental Sciences, KU Leuven, Leuven, Belgium / Research Foundation - Flanders (FWO), Brussels, Belgium. / Department of Geography, Vrije Universiteit Brussel (VUB), Brussels, Belgium)、Thi Thu Huong Hoang(The Faculty of Geography, VNU-University of Science, Vietnam National University, Hanoi (VNU) Hanoi, Vietnam)、Kim Chi Vu(VNU Institute of Vietnamese studies and Development Science (VNU IVIDES), Vietnam National University, Hanoi (VNU), Hanoi, Vietnam)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Angel Roberto Riofrio Jacinto, Lisa‐Marie Hemerijckx, Thi Thu Huong Hoang, et al. Food access, purchasing habits and dietary diversity of peri-urban households in Hanoi, Vietnam. World Nutrition 2026-09-30. DOI: 10.26596/wn.202617386-107. 原著ライセンス:CC BY.