コンビニ弁当や定食が続く日々には、揚げものも炒めものも主役級に並ぶ。エネルギーもたんぱく質も足りているのに、食卓から静かに消えていくのが色の濃い葉もの野菜——そしてそこに多いビタミンKだ。

ビタミンKは、正常な血液凝固の維持と骨の形成に関わる脂溶性ビタミン。日本人の食事摂取基準では女性30〜49歳の1日の目安量は150µgとされている。耐容上限量(これ以上は摂りすぎとされる上限)は設定されておらず、食品から多めに摂っても過剰を心配する必要はないとされる。だからこそ「多すぎ」より「足りているか」の側を意識したい栄養素だ。

ワルファリンなど抗凝固薬を服用中の方へ:ビタミンKの摂取量は薬の効果に直接影響するため、食事内容を大きく変える際は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。

発酵食品という意外な源

葉野菜のイメージが強いが、帰宅後すぐに使えて常備しやすい一品として見逃せないのが糸引き納豆だ。100gあたりのビタミンKは600µg(1日の目安量150µgの400%)と密度が高い。一般的な1パック(約45g)での概算は約270µg——目安量のおよそ1.8倍に相当する。ご飯に乗せるだけで準備の手間がなく、付属のたれ・からしを使わない素の状態では食塩相当量がゼロ(成分表の値はこの素の状態のもので、市販品に付属の調味料パックを使うと食塩相当量が加わる)なのも、外食で塩分が増えがちな日に調味料の量を加減する選択肢として意識できる特徴だ。

ゆでて置いておける葉もの2品

こまつなほうれんそうは、外食が続く週の夕食に一品添えやすい葉ものだ。

こまつなは、ゆでた状態の成分表値で100gあたり320µg(目安量の213%)。1人分として約80gを使うと約250µgの概算になる。エネルギーは100gあたり14kcalと低く、汁物の具にも炒めものにもおひたしにも使いやすい。まとめてゆでて冷蔵しておくと、夕食に一品足す手間がかからない。

ほうれんそうは、季節を通じた年間平均・生の状態の成分表値で100gあたり270µg(目安量の180%)。おひたしなどで生から約80gを使う場合、約220µgの概算になる(100gあたりの実測値からの換算)。ビタミンKは脂溶性のため加熱による損失は比較的小さいとされるが、ゆでた後の実測値は生のデータよりやや低くなる場合があるため、概算値は上限として参考にしてほしい。β-カロテン(体内でビタミンAのもとになる)も100gあたり4200µg含まれ、葉もの全般が少なくなりがちな週に選びたい一品だ。

食卓の彩りを添えるもう2品

ブロッコリーの緑色の小房部分(生の成分表値)は100gあたり210µg(目安量の140%)。小房4〜5個(生で約80g)を蒸すか茹でると約170µgの概算になる。生の値を参照しているため加熱後の実測値はやや低くなる場合があるが、ビタミンKは脂溶性のため損失は比較的小さいとされる。ビタミンCは100gあたり140mg(目安量の140%)含まれ、一品で複数の栄養素を摂りやすい野菜として食卓に取り入れやすい。

鍋や和えものに使いやすいしゅんぎく(生)は100gあたり250µg(目安量の167%)。鍋の具として生から約50gを目安にすると約125µgの概算になる。β-カロテンは100gあたり4500µg含まれ、独特の香りが料理のアクセントになる。

冷蔵庫の「一品」が見せるもの

5品に共通するのは、どれも特別な調理技術なく取り入れられる点だ。外食後に帰宅して「もう一品だけ」と思ったとき、冷蔵庫に納豆かゆでたこまつながあれば即座に選べる。ブロッコリーなら茹でて切るだけ、しゅんぎくなら鍋の夜に加えるだけ。外食が続くからこそ、家で食べる一品の「何を選ぶか」に意味が出てくる。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準文部科学省 食品成分データベース消費者庁