この研究は、アメリカの研究機関の研究論文です。

掲載誌:American Journal of Lifestyle Medicine

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

著者らによると、刑務所などの矯正施設を出て地域社会での生活に戻る女性は、慢性疾患や心の健康の問題を多く抱えています。一方で、出所後に一時的に暮らす移行期の住居で、食事や運動などの生活習慣を整える取り組み(ライフスタイル医学に基づくプログラム)がどのような変化と関係するのかについては、知見が限られていました。

この研究は、そうした住居で行われたウェルネスプログラムの期間中に、参加女性の食行動、身体活動、心の不調の症状がどう変化したかを調べたものです。

調べた方法

研究チームは、米国テキサス州ヒューストンの移行期住居施設に住む女性17人について、すでに集められていたアンケートのデータを後からさかのぼって分析しました。比較のための別グループを設けず、同じ参加者のプログラム前後の回答を比べる「単一群の前後比較」という形の評価です。

プログラムでは、毎週のヨガと瞑想のセッションと、毎月の栄養・料理教室が行われました。食行動は10項目からなる健康的な食事の評価票を調整したもの、心の不調はうつと不安の症状を尋ねる短い質問票(PHQ-4)、身体活動は国際的な身体活動質問票の短縮版のうち頻度を尋ねる項目で評価されました。いずれも参加者自身の回答に基づく指標です。

主な結果

論文の報告では、食行動の評価票の合計点は平均28.9点から39.7点へと上がり、平均の変化は10.8点の増加で、統計的に意味のある変化とされました。

心の不調の症状を表すPHQ-4の合計点は0.9点下がりましたが、この変化は統計的に意味のある差とはいえませんでした。

追加の分析では、食行動のいくつかの項目と、身体活動の頻度に関する3つの指標すべてで改善がみられたと報告されています。探索的な分析では、不安の症状は減った一方、うつの症状は減っていませんでした。

この研究が示すこと

著者らは、プログラムへの参加が、自己申告による食行動と身体活動の頻度の改善と関連していたと結論づけています。ただし、対照群のない少人数の前後比較であるため、変化がプログラムによって生じたと言い切ることはできません。著者ら自身も、より大規模で比較対象を置いた研究や、妥当性が確認された指標、より長い追跡が必要だと述べています。

この研究は、出所後の生活を支える住まいの場で、生活習慣に関わる取り組みと参加者の行動の変化との関係を記録した初期的な報告として位置づけられます。

著者:Sarah E Rashdan(Albert Schweitzer Fellowship, Houston-Galveston Branch, Houston, TX, USA)、Sarah‐Ann Keyes(Department of Medicine, Baylor College of Medicine)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sarah E Rashdan, Sarah‐Ann Keyes. Changes in Dietary Behavior, Physical Activity, and Mental Health During a Lifestyle-Based Wellness Program for Women Re-Entering the Community After Incarceration: A Single-Arm Pre-Post Program Evaluation. American Journal of Lifestyle Medicine 2026-10-10. DOI: 10.1177/15598276261491723. 原著ライセンス:CC BY.