さやを開けると、ふっくらとした豆が顔をのぞかせる。5月の青空の下で収穫されるそら豆は、年に一度の短い旬を持つ春の贈り物です。塩ゆでしてそのまま食べるだけでも十分においしいのですが、実はこの小さな豆の中に、高齢者の骨・筋力・免疫を支える成分がぎゅっと詰まっています。今年の5月は、そら豆を食卓の主役に据えてみませんか。

この時期に注目したい栄養素

高齢になると気になるのが、骨密度の低下・筋肉量の減少・免疫力の衰えという三つの課題です。そら豆はこれら三つを同時に意識できる食材として、5月の旬に積極的に活用したい存在です。

まずたんぱく質。筋肉の材料となる栄養素で、高齢者では食が細くなるにつれて不足しがちです。そら豆(未熟豆・ゆで)は100gあたり10.5gのたんぱく質を含み、植物性食品としては優秀な部類に入ります。

次に。造血を助ける鉄は、免疫細胞の働きにも関わっています。そら豆(未熟豆・ゆで)には100gあたり2.1mgの鉄が含まれています。

そして見落とせないのがビタミンCです。そら豆(未熟豆・ゆで)には100gあたり18mgのビタミンCが含まれており、豆類の中では際立った特徴です。ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、骨や皮膚の維持に貢献するほか、免疫機能のサポートにも関わることが知られています。旬の時期に生に近い形で食べることで、この恩恵を最大限に受けやすくなります。

さらに食物繊維も豊富で、腸内環境を整えることで免疫の土台を支える働きが期待できます。

おすすめ食品とその数値データ

そら豆は加工形態によって栄養プロフィールが大きく変わります。目的に合わせて上手に選びましょう。

  • 塩ゆで・旬の生食用:そら豆(未熟豆・ゆで)はエネルギー103kcal、たんぱく質10.5g、鉄2.1mg、ビタミンC 18mg(いずれも100gあたり)。5月が旬のフレッシュな状態でいただける、最もビタミンCが豊富な形態です。骨・筋力・免疫を意識するなら、この時期にぜひ取り入れてください。
  • 乾燥豆として:そら豆(全粒・乾)はエネルギー323kcal、たんぱく質26.0g、カルシウム100mg、鉄5.7g(いずれも100gあたり)。旬が終わっても年間を通じて活用でき、たんぱく質・カルシウム・鉄のいずれも高水準です。骨と筋力の維持を特に意識したい方に向いています。
  • スナック感覚で:そら豆(フライビーンズ)はエネルギー436kcal、たんぱく質24.7g、カルシウム90mg、鉄7.5mg(いずれも100gあたり)。鉄の含有量が群を抜いており、免疫機能に関わる造血を意識したい方に注目の一品です。ただしエネルギーも高いため、食べすぎには注意が必要です。
  • おやつ・煮豆として:そら豆(おたふく豆)はエネルギー237kcal、たんぱく質7.9g、カルシウム54mg、鉄5.3mg(いずれも100gあたり)。甘く煮た形で食べやすく、高齢者が食が細いときでも口にしやすい加工形態です。またそら豆(ふき豆)はエネルギー251kcal、たんぱく質9.6g、鉄2.7mg(100gあたり)で、食感が柔らかく噛む力が弱くなってきた方にも取り入れやすい選択肢です。

毎日の食事への取り入れ方

そら豆を日常に取り込む方法は、実にシンプルです。旬の今なら、さやごと魚焼きグリルで焼く「焼きそら豆」がもっとも手軽。さやの中で蒸し焼きになるため旨みが凝縮し、ビタミンCも水に溶け出しにくく保ちやすいというメリットがあります。

ゆでたそら豆(未熟豆・ゆで)は、白和えやポタージュスープにするとたんぱく質が豊富な豆腐や牛乳と組み合わせられ、骨と筋力の維持を意識した一品になります。また、ご飯と一緒に炊き込む「そら豆ご飯」も、手軽さと季節感を両立できる定番です。

乾燥豆のそら豆(全粒・乾)は、水に一晩浸してからスープや煮込み料理に使うと、カルシウムと鉄をまとめて摂れます。旬の時期が過ぎても使えるので、ストックしておくと重宝します。

間食にはフライビーンズを少量つまむ習慣も。菓子類より食物繊維・たんぱく質・鉄を多く含み、「間食を賢く選ぶ」という観点からも理にかなっています。

なお、最新の日本人の食事摂取基準(厚生労働省)によれば、高齢者のたんぱく質・鉄・ビタミンCの必要量は年代や性別によって異なります。詳細は厚生労働省の最新資料をご確認ください。

まとめ

5月の短い旬に輝くそら豆は、骨・筋力・免疫という高齢者の三大テーマを一度に意識できる、稀有な季節食材です。塩ゆで・焼き・スープ・煮豆・スナックと、形を変えながら無理なく日常に取り入れてみてください。旬の食材を食卓に置くことは、季節を感じる豊かさとともに、体の内側からの底上げにもつながります。今年の5月は、そら豆と一緒に過ごしてみましょう。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。