この研究は、エチオピアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:PLoS ONE

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

砂糖や脂肪、塩分が多く栄養素の少ない食品を食べる習慣は、低・中所得国の若者の間で広がりつつあり、公衆衛生上の課題とされています。思春期(10〜19歳)は食習慣が形づくられ、大人になっても続きやすい時期です。

エチオピア東部のディレダワ市は、ソマリアやジブチと接する交易の拠点で、輸入された加工食品が他の都市より手に入りやすい環境にあると著者らは説明しています。一方、エチオピアでの先行研究の多くは首都アディスアベバや南部の学校を対象としており、この地域の若者の食品購入についての情報はほとんどありませんでした。

そこで研究チームは、ディレダワ都市部の若者のうち不健康な食品を毎日購入している人の割合、よく購入される食品の種類、そして毎日の購入と関連する要因を調べました。

どのように調べたか

調査は2024年10月から11月にかけて行われました。市内9つの都市部ケベレ(最小の行政単位)から無作為に4つを選び、その中の世帯を一定の間隔で抽出して、10〜19歳の若者475人に対面で聞き取りを行いました。

主な質問は「過去7日間に、自分で食べるためにお菓子、チップス、ケーキ、ハンバーガー、ピザ、伝統菓子などの不健康な食品をどのくらいの頻度で買ったか」というものです。研究チームは「毎日」と答えた人と、それ未満の人を比べました。

関連を調べた要因には、年齢、性別、世帯収入、母親の学歴、友人や親からの影響、自宅や学校から歩いて行ける範囲にある不健康な食品の販売場所の数、販売者や広告からの影響、栄養に関する知識、世帯の食料の確保状況が含まれます。これらを同時に考慮する統計手法を用いて、それぞれの要因が毎日の購入とどの程度結びついているかを分析しました。

主な結果

論文によると、不健康な食品を毎日購入していると答えたのは70人で、全体の14.7%、およそ7人に1人でした。過去1週間に購入された品目として多く挙がったのは、ケーキ(18.1%)、ベクレワと呼ばれる伝統菓子(17.1%)、ハンバーガー(17.1%)でした。著者らは、西洋風のファストフードと地元の伝統的な甘い食品の両方が購入されている点に注目しています。

他の要因の影響を調整したうえで、毎日の購入と統計的に有意な関連が見られたのは5つの要因でした。最も強かったのは身近な販売場所の多さで、歩いて行ける範囲に4か所以上あると答えた若者は、0〜1か所の若者に比べて毎日購入するオッズ(起こりやすさを表す指標)が約3.4倍でした。続いて、販売者や広告の影響を受けていると答えた若者で約2.6倍、友人の影響を受けていると答えた若者で約2.1倍、栄養知識が乏しい若者で約2.0倍、高収入世帯の若者で低収入世帯に比べ約1.9倍となっていました。

著者らは、高収入と毎日の購入が結びついていた点について、この地域では不健康な食品の購入が主に貧困や食料不足の問題というより、購買力が高まる中での食品選択の問題である可能性を示すものだと考察しています。

一方、購入頻度を5段階のまま扱った追加の分析では、関連の方向はおおむね同じだったものの多くは弱まり、統計的に有意なまま残ったのは友人の影響だけでした。研究チームは、これらの要因が特に「毎日」という習慣的な購入と関わっている可能性を指摘しています。

この研究が示すこと

この研究は、交易拠点であるディレダワの都市部で、思春期の若者の不健康な食品購入の実態と関連要因を示した初めての報告と位置づけられています。特に、身近な販売場所の多さや販売者の働きかけといった食環境に関わる要因が、毎日の購入と強く結びついていました。

ただし、ある一時点の調査であるため、これらの要因が購入を引き起こしたという因果関係は示せません。著者らは、甘い飲料が調査対象に含まれていないため不健康な食品・飲料への接触全体を過小評価している可能性が高いこと、都市部のみの調査であること、自己申告に基づくこと、多重比較の補正を行っていないことを挙げ、今回の結果は別の集団で確かめるべき仮説として受け止めるべきだとしています。

それでも、若者の食習慣を個人の知識だけでなく、身の回りで何がどれだけ売られているか、友人や販売者からどんな影響を受けているかといった環境の面から捉える必要があることを、この研究は示しています。

著者:Bira Belay(Haramaya University)、Alamiya Abdo(Harar Health Science College)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Bira Belay, Alamiya Abdo. Daily unhealthy food purchase and associated factors among adolescents in urban Dire Dawa, eastern Ethiopia: A community-based cross-sectional study. PLoS ONE 2026-10-06. DOI: 10.1371/journal.pone.0359580. 原著ライセンス:CC BY.