著者の所属・活動拠点の国は、イギリスです。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的:子どもが受け入れられる、糖分の少ないスムージーを探る

果物や野菜をミキサーにかけたスムージーは、子どもが果物や野菜をとるきっかけになる飲み物です。一方で、市販のスムージーの多くは糖分が多すぎると指摘されています。著者らは、その主な原因として、レシピの大部分にリンゴジュースが使われていることを挙げています。先行研究では、市販スムージー8製品に占めるリンゴジュースの割合が平均57.4%だったと報告されています。

ここで問題になるのが「遊離糖」です。遊離糖とは、食品に加えられた砂糖や、ジュースやピューレにした果物・野菜に含まれる糖のことで、丸ごとの果物や野菜、乳製品に含まれる糖は含みません。英国の子どもの多くは、この遊離糖を推奨量の2倍以上とっていると推定されています。

食品業界はレシピを見直して健康的な製品にする「リフォーミュレーション」に取り組めますが、新しい味が元の製品と大きく違うと子どもに受け入れられないおそれがあります。そこで研究チームは、子どもたち自身の意見を製品づくりに取り入れる「共創」の考え方に着目しました。リンゴジュースに代わるベースの材料について、子どもがどう感じ、どのようなスムージーなら飲みたいと思うかを明らかにすることを主な目的としました。また、農村部は都市部に比べて健康的な食品を手に入れにくいとされることから、農村部に住む子どもの声に焦点を当てました。

方法:絵を描きながら話し合う「ビジュアル・フォーカスグループ」

調査には、北ウェールズの農村部にある小学校1校の9〜11歳の子ども28人が参加しました。研究チームが用いたのは「ビジュアル・フォーカスグループ」という手法です。フォーカスグループは少人数で話し合ってもらう調査方法で、この研究ではそこに絵を描く作業を組み合わせました。絵を描くことで、決まりきった答えにとらわれずに発想しやすくなり、言葉でうまく説明できない子どもも考えを表しやすくなるとされています。

1時間のセッションでは、三つの課題が出されました。一つ目は、ふだん飲んでいるスムージーを一人ずつ描く課題です。二つ目は、4人ずつ7つのグループに分かれ、ミキサーの輪郭が描かれた紙に、自分たちが作る「ヘルシーなスムージー」を描く課題です。グループの仲間も楽しめる材料を選ぶよう求められ、「ヘルシー」の意味はあえて説明されませんでした。三つ目は、ヘルシーなスムージーを飲むうえでの障壁を描く課題です。その後の話し合いは録音されました。研究チームは、絵に何がどれだけ描かれたかを数え、さらに描かれた要素が何を意味しているかを、記録したメモや話し合いの内容も参考にして解釈しました。

主な結果:果物・氷・牛乳が人気、野菜やつぶつぶは苦手

ふだん飲むスムージーの絵には、16種類の果物が登場しました。最も多かったのはイチゴで28枚中21枚、次いでバナナが18枚に描かれていました。子どもたちは、なじみがあることが果物選びの大きな理由だと話しています。ベースには牛乳などの乳製品のミルク、アイスクリーム、氷などが描かれ、チョコレートやホイップクリームのように甘さやクリーミーさを加える高カロリーな材料もみられました。ストローも欠かせない要素とされ、ある子どもは「ストローがないとジュースに見える」と話しています。

グループで描いた理想のヘルシーなスムージーでも、果物が中心でした。7枚中6枚にイチゴ、5枚にバナナが描かれ、ベースとしては氷や牛乳がみられました。チョコレートを入れたグループもありましたが、「少しだけ」と量を控える工夫が書き添えられていました。話し合いでは、いろいろな材料を混ぜると味がよくなり苦みが減ると考えていること、氷による冷たさや爽快感が好まれること、なめらかな舌ざわりがとても重要であることが語られました。

障壁としては、野菜を入れることが大きく挙げられました。ブロッコリーやエンドウ豆などは悲しい顔や禁止マークとともに描かれ、「味がなさすぎる」「夕食みたい」「緑色だと変な見た目で、変な味がしそう」といった声が出ました。ただし、ホウレンソウは「ほとんど味がしないから悪くない」と話した子どももいました。このほか、材料が多すぎて甘さや味がくどくなること、種やナッツでつぶつぶした舌ざわりになりストローで飲みにくいこと、量が多すぎて気持ち悪くなりそうなこと、ぬるすぎたり冷たすぎたりすることも障壁として挙げられました。

研究が示すこと

著者らは、牛乳などの乳製品のミルク、氷、丸ごとの果物が、今後のスムージーづくりで有望なベースの材料になりうるとまとめています。子どもたちが野菜に抵抗を示した点について、著者らは、野菜入りだと知らせずに提供した先行研究では多くの子どもが緑色のスムージーを試していたことと比べ、材料の情報をどう伝えるかが違いを生んだ可能性があると考察しています。

この研究は1校の子どもを対象にした、絵と話し合いに基づく調査です。それでも、子どもたちが味だけでなく、なじみ、舌ざわり、冷たさ、量、見た目を重視していることを具体的に示しました。著者らは、健康的で子どもに受け入れられる製品を考えるうえで子どもと共に考えることが大切であり、絵を使ったグループ調査が子どもの考えを引き出す方法として有効だったと結論づけています。

原著論文の著者・所属:Tennessee Randall(School of Psychology, Faculty of Medicine, Health and Life Science, Swansea University, Swansea SA2 8PP, UK)、Danni Walters(School of Psychology, Faculty of Social Sciences, University of East Anglia, Norwich NR4 7TJ, UK; Twisted Orange, 14 Ballard Grove Sidford, Sidmouth EX10 9EP, UK)、Natalie Rouse(Twisted Orange, 14 Ballard Grove Sidford, Sidmouth EX10 9EP, UK)、Tomos Owens(Smwddis Swig Smoothies CYF, Elm Croft, Campbell Road, Caernarfon LL55 1BG, UK)、Amanda J. Lloyd(Department of Life Sciences, Aberystwyth University, Aberystwyth SY23 3DA, UK)、Louise Neilson(Twisted Orange, 14 Ballard Grove Sidford, Sidmouth EX10 9EP, UK)、Laura L. Wilkinson(School of Psychology, Faculty of Medicine, Health and Life Science, Swansea University, Swansea SA2 8PP, UK)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Tennessee Randall, Danni Walters, Natalie Rouse, et al. Exploring Rural Children’s Ideal Healthy Smoothie: A Visual Focus Group Study. Foods 2026-10-15. DOI: 10.3390/foods15203653. 原著ライセンス:CC BY.