著者の所属・活動拠点の国は、インドです。

掲載誌:Journal of Advances in Biology & Biotechnology

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

米は品種によって、炊き上がるまでの時間や水の吸い方、炊いた後の粒の伸び方などの「炊飯特性」が大きく異なります。こうした違いは、米に含まれるでんぷんなどの性質の違いによって生じると考えられています。

研究チームは、インドのプロフェッサー・ジャヤシャンカル・テランガナ農業大学(PJTAU)が開発し、まだ一般に普及する前の段階にある「プレリリース品種」のイネを対象に、加圧した蒸気で米を加熱する処理(水熱処理)の前後で炊飯特性がどう変わるかを調べました。

何をどのように調べたか

対象はPJTAUのプレリリース品種11品種で、比較の基準となる対照としてRNR 15048とBPT 5204の2品種も加えられました。

まず、オートクレーブ(加圧して蒸気加熱できる装置)を使い、圧力の条件を2段階、加熱時間を5分・10分・15分の3段階に変えて、蒸し処理の条件を検討しました。その中から、精米したときの仕上がりの良さをもとに、ゲージ圧1.0 kg/cm²で5分間という条件が選ばれ、この条件で蒸した米が試料として用意されました。

次に、処理していない米と蒸した米のそれぞれについて、炊飯にかかる時間、炊いた後に粒が長さ方向にどれだけ伸びるか、水をどれだけ吸うか、体積がどれだけ膨らむか、炊飯中に煮汁へ溶け出す固形分の量などを測定しました。あわせて、アルカリ溶液に浸したときの粒の崩れ方(アルカリ崩壊性)や、でんぷんが熱で糊状に変化し始める温度(糊化温度)といった、でんぷんの性質に関わる指標も調べています。

主な結果

抄録によると、すべての炊飯特性の項目で、PJTAUのプレリリース品種の間にかなりの違いが見られました。

蒸し処理を行うと、全体として炊飯時間が短くなり、糊化温度が下がる傾向がありました。一方で、吸水の度合いや当量重量と呼ばれる指標は増える傾向を示しました。アルカリ崩壊性も蒸し処理後に高まり、著者らはこれをでんぷんの糊化の仕方が変化したことを示すものと解釈しています。

また、炊飯中に煮汁へ溶け出す固形分は、蒸し処理後に全体として少なくなりました。著者らは、炊飯中に米から成分が流れ出しにくくなったことを示唆するとしています。これに対し、粒の伸びや体積の膨らみ方は品種によって反応が異なっていました。

研究が示すこと

著者らは、条件を管理した蒸気による熱処理によって米の炊飯特性が変わり、その変化の大きさは品種ごとに異なると結論づけています。特に、ゲージ圧1.0 kg/cm²で5分間の蒸し処理には、これらのプレリリース品種の炊飯特性を変える可能性があるとしています。

この研究は、同じ処理を施しても品種によって炊飯特性の変わり方が違うことを、開発段階の品種について示したものといえます。

原著論文の著者・所属:Nazneen Begum(Post Graduate and Research Centre, PJTAU, Rajendranagar, Hyderabad–500030, India)、T. Supraja(MFPI-Quality Control Laboratory, PJTAU, Rajendranagar, Hyderabad–500030, India)、B. Anila Kumari(Department of Foods and Nutrition, PG&RC, PJTAU, Rajendranagar, Hyderabad–500030, India)、Ch. Damodar Raju(Department of Genetics and Plant Breeding, Seed Research and Technology Centre, PJTAU, Rajendranagar, Hyderabad–500030, India)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nazneen Begum, T. Supraja, B. Anila Kumari, et al. Effect of Hydrothermal Treatment on Cooking Quality Characteristics of Professor Jayashankar Telangana Agricultural University (PJTAU) Pre-release Rice Cultivars. Journal of Advances in Biology & Biotechnology 2026-09-25. DOI: 10.9734/jabb/2026/v29i104479. 原著ライセンス:CC BY.