「ヒスチジン」という名前を聞いたことがない方も多いかもしれません。ヒスチジンはたんぱく質を構成するアミノ酸の一つで、体内では合成できない「必須アミノ酸」に分類されています。とりわけ乳幼児の成長に欠かせないアミノ酸として、食品安全委員会の評価書でも特記されています。大人の体でも食事から継続的に補う必要があります。
なお、日本人の食事摂取基準にはヒスチジンの定量的な推奨量・目安量は設定されていません。どれくらい摂るべきかの数値的な目安が公式には示されていない栄養素であるだけに、「どの食品にどれだけ入っているか」を知っておくことには意味があります。
上位5食品を読み解く
第1位・第2位・第3位:「かつお」の加工品が三席を占める
可食部100gあたりのヒスチジン量を見ると、上位三つをかつおの加工品が占めています。1位のかつお節が5700mg、2位の裸節が5300mg(推定値)、3位の削り節が4800mg。削り節と比べてもかつお節は5700mgと高い値で、同じかつおの加工品の中でも差があります。
生のかつおをいったん乾燥・加工することでたんぱく質全体が凝縮されるため、アミノ酸の密度が高まると考えられています。1パック約5gという少量でも、ヒスチジンをはじめとするアミノ酸が効率よく含まれているのが加工品の特徴です。ただし一度に大量に食べるものではないため、あくまで「質の高いアミノ酸源」として捉えると分かりやすいでしょう。
なお、かつお節にはセレンが100gあたり320µg含まれています。これは女性(30〜49歳)の1日の推奨量25µgに対して1280%に相当する高い値です。この割合はあくまで推奨量との比較であり、耐容上限量(過剰摂取の基準)に対する割合ではありません。セレンには耐容上限量が設定されており、1パック5gであれば通常の一食量では過剰摂取の心配はほとんどありませんが、サプリメントと組み合わせて大量に摂る場合は注意が必要です。
第4位:ごまさばの加工品「さば節」
4位に入ったのはごまさば さば節で、ヒスチジンは4700mg(推定値)。一般的に「さば」というと真さばが思い浮かびますが、ここに登場するのはごまさばを使った節です。かつお節と同様の加工工程を経ることで、アミノ酸が凝縮されています。
第5位:サケ節の削り節
5位はしろさけ サケ節 削り節で、ヒスチジンは3500mg(推定値)。サケはもともとたんぱく質を豊富に含む魚で、節に加工することでアミノ酸が凝縮されています。また、サケはビタミンDも多く含む食材で、このサケ節削り節では100gあたりビタミンDが33µg含まれており、女性(30〜49歳)の1日の目安量9µgの367%に相当します。なお、この値も目安量との比較であり、ビタミンDには耐容上限量が設定されています。1パック5g程度であれば通常の使用量で過剰摂取の心配はほとんどありませんが、複数の食品から大量に摂る場合は念頭に置いておきましょう。
まとめ:だし文化がアミノ酸の宝庫だった
ヒスチジンが多い食品として上位に並んだのは、いずれも魚を乾燥・加工した「節」の仲間でした。かつお節・削り節・さば節・サケ節と、日本のだし文化を支えてきた食材が揃っています。味噌汁や煮物のだしとして毎日の食卓に取り入れやすいのも、これらの食品の強みです。特別な食べ方をしなくても、ふだんのだしをしっかり引く習慣が、アミノ酸を日常的に摂る一つの方法になります。
参考:日本食品標準成分表(八訂)/食品安全委員会「ヒスチジン」評価書/日本人の食事摂取基準
栄養素のはたらきの記述は、次の公的資料に基づきます:食品安全委員会
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。