六月の上旬、青果コーナーに莢ごとのグリーンピースがまだ並んでいる。えんどう豆の旬は春から初夏にかけてで、盛りは五月ごろ。六月に入ると名残の季節で、生の莢が店頭を離れるのもそろそろだ。冷凍品なら一年中手に入るが、莢から豆を取り出す手間も含めて楽しめるのは今の時期だけだ。
グリーンピースは、えんどう豆の若い実(まだ緑色の状態で収穫した豆)を野菜として食べる食品だ。スーパーでは野菜売り場に置かれているが、栄養成分の構成は豆類に近い。
野菜として食べながら、豆のたんぱく質が入ってくる
グリーンピース100gのたんぱく質は6.9g。日本人の食事摂取基準による女性30〜49歳の一日の推奨量(50g)の14%にあたる量だ。野菜として食べる一食分の量でこれだけのたんぱく質を含むのは、豆類ならではの特徴だ。
実際の食事では、豆ごはんや汁物の具として30〜50g程度が一般的なところだろう。例えば50g程度なら、たんぱく質は約3.5g。特に意識しなくても、食材のひとつとして加えるだけで豆由来のたんぱく質が自然と上乗せされる。
食物繊維は100gで7.7g、その9割以上が不溶性
もうひとつ目を引くのが食物繊維だ。100gあたり7.7gで、女性30〜49歳の一日の目標量(18g)の43%に相当する。そのうち7.1gが不溶性食物繊維で、全体の9割以上を占める。不溶性食物繊維は水に溶けにくく、腸内でかさを増す性質を持つ種類だ。
たんぱく質と食物繊維の両方を意識して摂ろうとすると、それぞれ別の食材を組み合わせることが多い。グリーンピースは、野菜として食べながら両方を同時に摂れるという、少し変わった立ち位置にある。
豆類らしい微量ミネラル──モリブデン
もう一点、グリーンピースが特に多く含む栄養素にモリブデンがある。100gあたり65µgで、女性30〜49歳の一日の推奨量(25µg)の260%という数字だ。モリブデンとは、含硫アミノ酸(硫黄を含むアミノ酸)などの代謝に関わる酵素の成分として働く微量ミネラルで、豆類に比較的多く含まれる傾向がある。食事摂取基準にも推奨量が設定されており、豆製品から補いやすいミネラルのひとつに数えられる。
100g基準の260%という数字は密度が高いが、グリーンピースを一度に100g食べる機会は多くない。豆ごはんや汁物に加える30〜50g程度の量であれば、通常の食べ方で摂取量が問題になることはない。
名残の莢を割って、豆ごはんへ
この時期の楽しみ方として、豆ごはんはシンプルで季節感がある。莢から出したグリーンピースを米と一緒に塩少々で炊くだけで、ほんのりとした甘みと鮮やかな緑が食卓に届く。莢をひとつずつ割いて豆を取り出す工程も、六月上旬の台所ならではの時間だ。
汁物に散らしたり、卵でとじたり、洋風スープに加えたりと、使い方の幅も広い。特別な仕込みも道具も要らず、生の莢を買ってきてその日に使えるのがグリーンピースの気軽さでもある。
「野菜のつもりで食べていたら、たんぱく質も食物繊維も摂れていた」——そんな小さな発見が、名残の季節の食卓をほんのり面白くしてくれる。今年のグリーンピース、莢を割るなら六月のうちだ。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。