スプーンで果肉をすくい終えたあと、皮に張りついた白っぽいワタの部分――そのまま生ごみに直行させている人は多いのではないだろうか。実はこの部分、種を取り除けばまだやわらかく食べられ、捨てるにはもったいない。茨城県はメロンの代表的な産地の一つで、露地物は初夏から盛りを迎える時期にあたる。まさに今、産地の顔が見える季節に、果肉だけで終わらせるのはもったいない。
網目の下に隠れた栄養
温室メロンの代表格であるマスクメロンといえば、あの美しい網目模様が目印だ。この網目は、果実が大きくなる過程で皮がさけ、その跡としてできるもので、いわば力強く育った証といえる。一方、露地メロンには果肉が赤い夕張やクインシー、緑のアンデスやアムスなど、網目のない品種もあり、ねっとりとした甘みが持ち味とされる。
栄養面で見ると、メロン 温室メロン 生の可食部100gあたりのエネルギーは40kcalとごく控えめで、たんぱく質1.1g、脂質0.1g、炭水化物10.3gという構成だ。たんぱく質1.1gは、30〜49歳女性の食事摂取基準における推奨量50g/日のわずか約2%にとどまり、メロンは主役というよりみずみずしさで食卓を彩る存在だとわかる。甘みが口に広がる一方で、カリウムも可食部100gあたり340mgと豊富で、暑い季節に手が伸びる理由の一つかもしれない。
捨てられがちなワタも食べられる
ここで注目したいのが、種のまわりに広がるワタの部分だ。種を丁寧に取り除いたワタは、果肉と同じようにやわらかく食べられる部分だ。果肉を食べたらワタは洗い流す、という習慣を少し変えてみてはどうだろうか。おすすめはヨーグルトに混ぜる食べ方だ。種を丁寧に取り除いたワタをスプーンでこそげ取り、プレーンヨーグルトに加えるだけで、爽やかな酸味と甘みが混ざり合う一皿になる。メロンは皮や種を除くため廃棄率が高い果物だが、その手前にあるワタまで一緒に捨ててしまうのは、実はもったいない。
ちなみに温室メロンは通年出回っているが、産地物のおいしさが際立つのはやはり初夏から盛りの今の時季だ。収穫後は5日から1週間ほど追熟させてから食べるのが食べごろの目安とされ、届いてすぐより数日置いてから切る方が、香りも甘みも増している可能性が高い。暑さで食欲が落ちる時期に、みずみずしいメロンが恋しくなるのも自然な流れかもしれない。
丸ごと楽しみ、賢く保存する
食べきれない分は、一口大に切って冷凍しておけば、半解凍のシャーベット感覚で楽しめる。保存の目安は冷蔵で5日、冷凍なら1カ月ほどとされる。熟し切っていないものは常温に置いて追熟を待つのがよい。さらに、皮もマリネに活用できるとされ、薄くそいで調味液に漬けておけば、香り高い箸休めに変わる。果肉、ワタ、皮と、それぞれに使い道があるのがメロンの面白いところだ。
なお、花粉症やゴム製品アレルギーのある人は、メロンを食べると口の中がかゆくなるなどの症状が出ることがあるとされるので、初めて食べる際は少量から試すと安心だ。
果肉のジューシーさばかりに気を取られてきたメロンだが、皮の内側にもう一つの実があると思えば、次に手に取るときの楽しみが増える。ワタまで使い切って、初夏から盛りへと向かうこの時季の甘みを丸ごと味わってみたい。
※特定の食品の健康効果を示すものではありません。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準