この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Journal of Innovative and Creativity (Joecy)

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

思春期は体が急速に成長する時期で、ほかの年代よりも多くの栄養が必要になります。一方で、朝食を抜く、ファストフードや甘い飲み物をよくとる、果物や野菜が少ないといった食習慣も、この年代に広く見られます。著者らは序論で、インドネシアの2023年の全国健康調査でも、13〜15歳の若者にやせ、過体重、肥満といった栄養の問題が見られたことを紹介しています。

こうした問題への対策として注目されるのが、「バランスのとれた栄養」についての知識です。必要な栄養素を理解し、適切な食品を選び、日々の食事に生かす力のことを指します。ただし、これまでの研究では、栄養の知識と、体格などから判定される「栄養状態」との関係について、関連があるとする報告とないとする報告が混在していました。そこで研究チームは、最近の研究結果を集めて比較し、栄養の知識が10代の食事パターンや栄養状態とどう関係しているのかを整理することを目指しました。

どのように調べたか

この論文は、新たに調査を行ったものではなく、既存の研究を集めて読み比べる「文献レビュー」です。著者らはGoogle ScholarとPubMedという論文データベースを使い、インドネシア語と英語のキーワードで論文を探しました。

対象としたのは、2021〜2025年に発表された、若者を対象とする観察研究のオリジナル論文です。観察研究とは、介入をせずに、ある時点の知識や食事、体格などを調べて関係を見る研究のことです。他の総説や学会抄録などは除外しました。選考の結果、9件の論文が条件を満たしました。研究ごとに対象者や測定方法がまちまちだったため、数値を統合する統計解析は行わず、共通点や違いを文章で比較・整理する方法をとっています。

取り上げられた研究は、主にインドネシアの中学生や高校生を対象としたもので、対象者数は数十人から400人台まで幅がありました。

主な結果

まず食事パターンとの関係では、栄養の知識、あるいは食品を理解して選び、扱う力(フードリテラシー)が、より望ましい食事パターンと関連していたと報告した研究が2件ありました。ただし、そのうち1件では、関連は統計的に意味があるものの、強さは弱いとされています。

栄養状態との関係では、4件の研究が、栄養の知識と栄養状態の間に統計的に意味のある関連を報告していました。これらの研究の多くは、食事パターンと栄養状態の間にも関連があるとしています。

一方で、3件の研究は、栄養の知識と栄養状態の間に意味のある関連を見いだしませんでした。このうち1件では、知識とは関連がなかった一方で、エネルギーやたんぱく質の摂取量は栄養状態と関連していたと報告されています。

著者らはこうした結果から、全体としては栄養の知識が食事パターンや栄養状態と関連する傾向が見られるものの、研究結果は一様ではないとまとめています。そして、栄養状態は知識だけで決まるのではなく、実際の食行動や栄養素の摂取量、身体活動、家庭環境、経済状況、食品の入手しやすさなど、さまざまな要因の影響を受けると論じています。

この研究が示すこと

このレビューから見えてくるのは、栄養について「知っていること」と、実際に「どう食べ、どのような体の状態にあるか」との間には、ある程度のつながりが見られる一方で、知識だけでは説明しきれない部分もあるということです。

なお著者らは、扱った論文が9件に限られ、その多くがある一時点の状態を調べる横断研究であるため、知識が食事や栄養状態を変えるという因果関係までは説明できないと述べています。そのうえで、学校での栄養教育は知識を伝えるだけでなく、健康的な食習慣づくりや、学校と家庭の支えと組み合わせることが大切だという見方を示しています。

著者:Siti Dwi Nursetiawati(Universitas Islam Al-Ihya Kuningan)、Seila Azmia(Universitas Islam Al-Ihya Kuningan)、Nur Laily Ramdhani(Universitas Islam Al-Ihya Kuningan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Siti Dwi Nursetiawati, Seila Azmia, Nur Laily Ramdhani. Hubungan Pengetahuan Gizi Seimbang dengan Pola Makan dan Status Gizi Remaja: Literature Review. Journal of Innovative and Creativity (Joecy) 2026-09-24. DOI: 10.31004/joecy.v6i2.13126. 原著ライセンス:CC BY.