この研究は、デンマーク、スウェーデン、フランスの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Food Quality and Preference

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

植物性発酵食品の消費を増やすことは公衆衛生と環境の両面で有益とされていますが、欧米の肉を食べる人々の間では、その摂取量はまだ少ないままです。研究チームは、こうした食品を実際に味わう体験が「もっと食べよう」という意向にどう影響するかを調べました。

対象とした食品は、サワードウブレッド(天然酵母を使った発酵パン)、植物性の発酵乳製品代替品、植物性の発酵肉代替品です。著者らは、試食の有無とそのタイミング、食べる前に予想した好み(期待)と実際に味わったときの好みが、消費を増やす意向にどう関わるかを検討しました。あわせて、新しい食べ物を避けたがる傾向である「食物新奇性恐怖(フードネオフォビア)」がこれらの影響を左右するかどうかも調べています。

調査の方法

データは3週間にわたって集められました。まずオンラインの事前調査(143人)を行い、続いて実験室での実験(143人)、最後にオンラインの事後調査(127人)を実施しています。

実験室では、参加者を無作為に2つのグループに分けました。一方は植物性発酵食品を試食する前に消費の意向を答え(70人)、もう一方は試食した後に意向を答えました(73人)。こうすることで、試食がいつ意向に反映されるかを比べられるようにしています。

主な結果

論文によると、新しい食べ物を避けたがる傾向が強い人ほど植物性発酵食品の消費を増やす意向が低いという関係が見られましたが、実際に試食するとこの関係が弱まりました。

また、データの傾向からは、意向は試食後の最初の測定時点で変化することがうかがえたと報告されています。試食してから意向を答えたグループでは実験室の時点で意向が変わり、試食前に意向を答えたグループでは事後調査の時点で変わっていました。

食品ごとに異なる傾向も見られました。好評だったサワードウブレッドでは試食によって意向が高まった一方、あまり好まれなかった植物性の発酵肉代替品では意向が下がりました。さらに、サワードウブレッドと発酵乳製品代替品については、事前の期待以上に、その製品を実際に味わったときの好みが意向を最もよく予測していました。発酵肉代替品では、こうした影響はより弱く、一貫性も低かったとされています。

研究が示すこと

著者らは、植物性発酵食品をもっと食べようという意向を形づくるうえで、実際に味わって良いと感じる体験が重要であり、とくに新しい食べ物に慎重な肉を食べる人々にとってその意味が大きいとまとめています。ただし、試食が意向を高めるのは味が好まれた場合であり、好まれなかった食品では逆に意向が下がりうることも、この研究は示しています。

著者:Marijke Hiltje Hielkema(Department of Management, Society and Communication, Copenhagen Business School, Dalgas Have 15, 2000 Frederiksberg, Denmark)、Helene Christine Reinbach(Design and Consumer Behavior, Department of Food Science, University of Copenhagen, Rolighedsvej 26, 1958 Frederiksberg, Denmark)、Federico J.A. Perez-Cueto(Research Group Sustainable Food Transitions, Department of Food, Nutrition & Culinary Science, Umeå University, Lärarutbildingshuset, 901 87, Umeå, Sweden)、Maxime Michaud(Social Science, Institute Lyfe Research and Innovation Centre, Château du Vivier, 1A Chemin de Calabert, 69130, Ecully, France)、Michael Bom Frøst(Design and Consumer Behavior, Department of Food Science, University of Copenhagen, Rolighedsvej 26, 1958 Frederiksberg, Denmark)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Marijke Hiltje Hielkema, Helene Christine Reinbach, Federico J.A. Perez-Cueto, et al. From expectations to experience: How tasting plant-based fermented foods shapes consumption intentions. Food Quality and Preference 2026-10-03. DOI: 10.1016/j.foodqual.2026.106124. 原著ライセンス:CC BY.