著者の所属・活動拠点の国は、インドネシア、マレーシアです。
掲載誌:Berita Kedokteran Masyarakat
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、インドネシア・ジャカルタにある石油・ガス企業(論文では仮名で「PT X」と表記)の事務職員を対象に、体格指数(BMI)で判定した「過栄養」、つまり過体重と肥満にどのような要因が関わっているかを調べました。BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値で、体格を大まかに評価する指標として職場の健康管理でも広く使われています。
著者らによると、この会社は机に向かって働く事務系の職員を多く抱えています。24時間操業に関連した勤務時間や戦略的な産業で働くストレス、社員食堂や会議、接待などで高エネルギーの食べ物が手に入りやすい環境があり、一般的な事務職より過栄養のリスクが高いと考えられるにもかかわらず、インドネシアの栄養研究ではこうした職種の研究が少なかったといいます。研究チームは、年齢、性別、栄養に関する知識、食事のパターン、身体活動、婚姻状況、職場の物理的環境と社会的環境などが過栄養と関連するかを分析しました。
どのように調べたか
調査は2025年11月から12月に、ある時点の状態を一度に調べる「横断研究」として行われました。全職員471人のうち、条件に合う126人が対象になりました。現場作業や肉体労働を担う職員、妊娠中・授乳中の人、代謝疾患と診断された人は、体重への影響が今回調べたい生活習慣とは別の理由で生じうるため、対象から外されています。
身長と体重は会社が2025年に実施した健康診断の記録から得て、BMIを計算しました。判定にはアジア人向けの基準が使われ、BMI 23.0〜24.9を過体重、25.0以上を肥満としています。食事の頻度や身体活動、職場環境などはオンライン質問票で本人に回答してもらいました。身体活動は国際的に使われる質問票によって、1週間の活動量から「高い」「中程度」「低い」の3段階に分けられました。分析では、まず各要因と過栄養の関係を一つずつ調べ、次に複数の要因を同時に考慮する統計手法(ロジスティック回帰分析)で、ほかの要因の影響を差し引いても関連が残る要因を探しました。
主な結果
対象者126人のうち、低体重は2.4%、標準は44.4%、過体重は23.0%、肥満は30.2%でした。過体重と肥満を合わせた過栄養は53.2%で、半数をやや上回りました。
要因を一つずつ見た分析では、40歳以上、男性、身体活動が低い、既婚、勤続10年超の職員で過栄養の割合が高く、統計的に意味のある関連が示されました。たとえば身体活動が低いグループでは、18人中16人(88.9%)が過栄養に当たりました。一方、栄養の知識は約8割の職員が「良好」でしたが、過栄養の少なさとは関連していませんでした。甘い物・塩辛い物・脂っこい物や甘い飲み物の摂取頻度、野菜や果物の摂取、職場の物理的・社会的環境についても、有意な関連は見られませんでした。
複数の要因を同時に考慮した分析では、統計的に有意な関連が残ったのは身体活動だけでした。身体活動が低い職員は、高い職員に比べて過栄養のリスクが13.91倍高いと報告されています(95%信頼区間は2.53〜76.60)。年齢、性別、婚姻状況、勤続年数などは、この段階では有意ではありませんでした。
この研究が示すこと
著者らは、座って働く時間の長いこの職場では、身体活動の低さが過栄養と最も強く結びついていたことを重視し、栄養指導だけに頼るのではなく、職場で体を動かす機会を増やす取り組みを優先すべきだと述べています。また、栄養の知識が十分にあっても、それだけでは過栄養のリスクの低さにはつながっていなかった点にも触れています。
ただし、一時点の調査であるため因果関係までは分からないこと、食事や身体活動は本人の申告に基づくこと、1社のみを対象とした調査で他の企業や地域にそのまま当てはまるとは限らないことを、研究チーム自身が限界として挙げています。そのうえでこの研究は、デスクワーク中心の職場で過体重や肥満を考える際、日々の活動量が重要な手がかりになることを示しています。
原著論文の著者・所属:Janeiffah Rachma(Faculty of Health Sciences, University of Pembangunan Nasional “Veteran” Jakarta, Jakarta, Indonesia)、Apriningsih Apriningsih(Faculty of Health Sciences, University of Pembangunan Nasional “Veteran” Jakarta, Jakarta, Indonesia)、Januar Ariyanto(Faculty of Health Sciences, University of Pembangunan Nasional “Veteran” Jakarta, Jakarta, Indonesia)、Agus Joko Susanto(Faculty of Health Sciences, University of Pembangunan Nasional “Veteran” Jakarta, Jakarta, Indonesia)、Wan Ismahanisa Ismail(Faculty of Health Science, Universiti Teknologi MARA Cawangan Pulau Pinang, Kampus Bertam, Penang, Malaysia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Janeiffah Rachma, Apriningsih Apriningsih, Januar Ariyanto, Agus Joko Susanto, Wan Ismahanisa Ismail Determinants of overnutrition based on body mass index among employees of an oil and gas company (PT X) in Jakarta. Berita Kedokteran Masyarakat 2026-09-29. DOI: 10.22146/bkm.v42i09.29112. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。