エビは世界中で広く食べられている人気の高い水産物ですが、傷みやすく、水揚げ後の取り扱いや加工の過程で品質が劣化しやすいという課題があります。新鮮で安全な状態を長く保つ方法として、食品への放射線照射という技術が知られていますが、実際にどの程度の効果があり、味や食感にどう影響するのかは気になるところです。今回紹介する研究は、白エビにガンマ線照射を行い、冷蔵保存中の微生物数や栄養成分、官能評価(見た目・におい・食感・味)がどう変化するかを調べたものです。

研究でわかったこと

この研究では、白エビに1.5、3.0、4.5、6.0、9.0kGyという異なる線量のガンマ線を照射し、4℃程度の冷蔵条件で20日間保存しながら、微生物数、脂肪酸、アミノ酸、官能特性への影響が評価されました。

その結果、3.0kGy以上の線量では、総菌数や酵母・カビ数、糞便性レンサ球菌数が有意に減少し、黄色ブドウ球菌やサルモネラ属菌については検出されなくなったと報告されています。これは、照射によって安全性が高まったことを示す結果とされています。

一方で、6.0kGy以上のより高い線量では、保存1日目・20日目のいずれにおいても、不飽和脂肪酸や一部のアミノ酸の量が大きく減少したことが示されています。つまり、菌をより強く抑えられる高線量ほど、栄養成分への影響も大きくなる傾向がうかがえます。

官能評価に関しては、今回試したすべての線量において、生および加熱後サンプルのにおい・見た目・食感、そして加熱後サンプルの味に対する影響は見られなかったと報告されています。また、照射していない白エビでは保存20日目までに微生子数が増加し、脂肪酸・アミノ酸・官能スコアが低下したのに対し、ガンマ線照射を行ったサンプルでは、これらの変化がわずかにとどまったとされています。

これらを踏まえ、研究では4.5kGyまでの低い線量であれば、安全性を高めつつ、栄養や官能的な品質もある程度保持できる可能性が示唆されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

本研究は、特定の条件下で白エビを対象に行われた一つの実験結果であり、結論が確定したものではありません。線量や保存条件、エビの種類・産地などが異なれば結果が変わる可能性もあります。また、要旨には研究を実施した機関や地域についての記載がないため、本記事でもその点には触れていません。ガンマ線照射という技術そのものの安全性や制度上の扱いについては、要旨に記載がないため本記事では言及していません。

まとめ

今回紹介した研究では、白エビへのガンマ線照射について、3.0kGy以上で微生物学的な安全性が高まる一方、6.0kGy以上では脂肪酸やアミノ酸の減少が大きくなることが示されました。官能評価への影響はいずれの線量でも見られず、4.5kGyまでの低線量であれば、安全性と品質のバランスを取れる可能性があると報告されています。今後、さらなる研究によって知見が積み重ねられていくことが期待されます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ガンマ線照射処理を施した白エビの化学的・微生物学的・官能評価(食品品質ジャーナル・2026年01月)