著者の所属・活動拠点の国は、イランです。
掲載誌:Health Science Reports
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
関節リウマチ(RA)は、関節に痛みや腫れが生じる自己免疫疾患のひとつです。発症には遺伝的な要因だけでなく、生活習慣や環境要因も関わっていると考えられており、食事とRAリスクとの関連は以前から研究者の関心を集めてきたテーマです。今回紹介する研究では、新たにRAと診断された患者と健康な人を比較し、日々の食事に含まれる栄養素の摂取パターンがRAの発症リスクとどのように関連しているかを調べています。
この研究は症例対照研究と呼ばれる手法で行われ、新規にRAと診断された患者50名と、性別や年齢などをそろえた健康な対照者100名が対象となりました。参加者の食事内容は、信頼性が確認された食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて把握されています。得られたデータをもとに「因子分析」という統計的な手法を用いて、複数の栄養素がまとまって現れる摂取パターンを抽出しました。
研究でわかったこと
まず、患者と対照者を比較した基本的な特徴として、RA患者では体重、BMI(体格指数)、ウエスト周囲径、身体活動の少なさ、そしてRAの家族歴を持つ人の割合が、対照者よりも有意に高いという結果が示されました。
栄養素の摂取パターンについては、全体で4つのパターンが同定され、これらで全体のばらつきの71.65%を説明できたとされています。そのうち、ビタミンD・タンパク質・セレン・コレステロールの摂取が多い第1パターン、ビタミンC・カルシウム・食物繊維の摂取が多い第3パターン、そして鉄・ビタミンEの摂取が多い第4パターンは、いずれもRAリスクの低さと関連していたと報告されています。
一方で、総脂質・トランス脂肪酸・飽和脂肪酸の摂取が多く、食事のサービングスコア(DSS)や食事性炎症指数(DII)が高い第2パターンについては、RAリスクの高さと関連していたとされています。これらの関連はいずれも統計学的に有意な差(p<0.05)として示されました。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、特定の栄養素の摂取パターンとRAリスクとの間に統計的な関連が見られたことを示すものであり、「特定の食品や栄養素がRAを予防する」あるいは「引き起こす」と結論づけるものではありません。症例対照研究という手法の性質上、食事パターンとRA発症の間の前後関係(どちらが先か)を直接証明することはできない点にも注意が必要です。
また、対象者数は患者50名、対照者100名と比較的小規模であり、著者ら自身も、それぞれの栄養素とRAリスクとの関連について確定的な結論を得るには、より大規模で質の高いコホート研究(追跡調査)が必要だと述べています。一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではない点を踏まえて読むことが大切です。
まとめ
今回紹介した研究では、脂質・トランス脂肪酸・飽和脂肪酸が多く食事性炎症指数の高い食事パターンがRAリスクの高さと関連する一方、タンパク質・コレステロール・食物繊維・ビタミンD・ビタミンC・ビタミンE・セレン・カルシウムを多く含む食事パターンはRAリスクの低さと関連していることが示唆されました。今後、より大規模な研究によってこれらの関連がさらに検証されていくことが期待されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):新規診断された関節リウマチ患者における微量・多量栄養素パターンと発症リスクの関連:症例対照研究(ヘルス・サイエンス・リポーツ・2026年07月)
著者:Sajedeh Jandari(Department of Nutrition Sciences Mashhad University of Medical Sciences Mashhad Iran)、Mohammad Reza Shadmand Foumani Moghadam(Health Technology Incubator Center, Bu‐Ali Research Institute Mashhad University of Medical Science Mashhad Iran)、Mostafa Shahraki Jazinaki(Department of Nutrition Sciences Mashhad University of Medical Sciences Mashhad Iran)、Arezoo Rastegarmoghadam-Ebrahimian(Department of Nutrition Varastegan Institute for Medical Sciences Mashhad Iran)、Mohammad Amin Senobari(Department of Nutrition Sciences Mashhad University of Medical Sciences Mashhad Iran)、Kazem Eslami(Service of Clinical Nutrition and Dietitian, Emam Reza Hospital Mashhad University of Medical Sciences Mashhad Iran)、Mohammad Hassan Jokar(Rheumatic Diseases Research Center, School of Medicine Mashhad University of Medical Sciences Mashhad Iran)、Reza Rezvani(Department of Nutrition Sciences Mashhad University of Medical Sciences Mashhad Iran)