清涼飲料水やジュースなど、砂糖を多く含む「加糖飲料(SSB)」は、私たちの食生活の中でも特に糖分の摂りすぎにつながりやすい存在として知られています。とはいえ、頭では「減らしたほうがいい」とわかっていても、なかなか実行に移せない人は多いのではないでしょうか。今回紹介する研究は、そうした「わかっているけどやめられない」背景にある心理的な要因に着目したものです。台湾で実施された大規模な栄養調査のデータを使い、加糖飲料をどれくらい飲んでいるかと、自分にはやめられるという自信(自己効力感)や、やめることのメリット・障壁(バリア)をどう感じているかとの関連を調べました。
研究でわかったこと
この研究は、2017年から2020年にかけて実施された「台湾栄養健康調査(NAHSIT)」のデータを二次的に分析したもので、16歳から64歳までの4,475人が対象となっています。参加者は、食事摂取頻度調査(FFQ)をもとに、加糖飲料を飲む頻度によって「非摂取」「低摂取」「中摂取」「高摂取」の4グループに分けられました。あわせて、「やめることの難しさ(自己効力感の指標)」「やめることのメリットをどう感じているか」「やめることの障壁(バリア)をどう感じているか」についても、専用の質問票(食事に関する信念の調査)を使って評価されています。
結果として、対象者の88.6%が何らかの形で加糖飲料を摂取しており、そのうち32.1%は「1日1回以上」飲む高摂取者に分類されました。心理的な要因との関連を見ると、自己効力感の得点とメリットを感じる得点は、非摂取者や低摂取者で最も高く、高摂取者で最も低いという傾向が示されました。反対に、バリア(障壁)を感じる得点は、摂取量が多いグループほど高くなる傾向が見られています。これらの差はいずれも統計的に意味のあるものだったと報告されています。
さらに、ロジスティック回帰分析という統計手法を用いて詳しく調べたところ、自己効力感が高い(つまり、やめることを難しく感じていない)人ほど、加糖飲料を摂取している可能性が低いという関連が示されました。一方で、バリアを強く感じている人ほど、加糖飲料を摂取している可能性が高いという関連も確認されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、あくまで台湾で実施された一つの調査結果であり、加糖飲料の摂取を減らせば健康が改善するといったことを直接証明したものではありません。自己効力感やバリアといった心理的な要因と摂取パターンとの「関連」が示されたものであり、どちらが原因でどちらが結果かを断定するものではない点にも注意が必要です。また、対象は16歳から64歳の台湾の人々であり、他の年齢層や地域にそのまま当てはまるとは限りません。研究の著者らは、加糖飲料の摂取を減らすうえで、自分にはできるという感覚(自己効力感)や、感じている障壁への向き合い方が関連する要因である可能性を示唆しています。
まとめ
今回紹介した研究では、台湾の大規模な栄養調査データをもとに、加糖飲料の摂取パターンと自己効力感・メリット意識・バリア意識との関連が調べられました。自己効力感が高くバリア意識が低い人ほど加糖飲料の摂取が少ない傾向が示されており、単に「体に良くないから減らそう」という知識だけでなく、「自分にはできる」という感覚や、実行を妨げると感じる要因への向き合い方が、摂取行動と関連している可能性が示唆されています。今後さらに研究が積み重ねられることで、こうした心理的な要因への理解が深まっていくことが期待されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:自己効力感・認識されたメリットとバリアと加糖飲料摂取パターンとの関連:2017–2020年台湾栄養健康調査(NAHSIT)の二次分析(フロンティアーズ・イン・ニュートリション・2026年06月)