子どもの成長期のなかでも、幼稚園や保育園に通う就学前の時期は、体の代謝が活発で、将来の健康の土台がつくられる大切な段階だとされています。この時期の食生活はその後の発育や健康状態に深く関わると考えられており、なかでも「何を食べるか」は重要な要素の一つです。近年は超加工食品を多く食べる一方で、野菜や果物などの食物繊維や、発酵乳製品の摂取が少なくなる傾向が指摘されています。今回紹介する論文は、ロシアのモルドヴィア共和国で行われた研究で、有機発酵乳製品を子どもの食事に取り入れることが、腸内細菌のバランスや免疫の状態、体の発育にどのような関わりを持つのかを調べたものです。

研究でわかったこと

この研究は、サランスク市の就学前教育施設に通う2歳から7歳までの子ども207人を対象に行われたコホート研究です。子どもたちは摂取している乳製品の種類によって2つのグループに分けられました。有機発酵乳製品を摂取し、サランスク市の施設に通う子ども158人からなる「主群」と、通常の乳製品を摂取し、ルザエフカ市の施設に通う子ども49人からなる「対照群」です。研究チームは、急性呼吸器感染症の発症状況、体格や発育の状態(人体計測)、体組成(生体電気インピーダンス法による測定)、そして便を用いた腸内細菌叢の微生物学的検査などのデータを集め、統計的に比較しました。

その結果、有機発酵乳製品を摂取していた主群では、対照群と比べて、身体発育の指標や体組成の数値、腸内細菌叢のバランスに良い傾向が見られたと報告されています。また、急性呼吸器感染症の発症についても、主群のほうがより顕著な減少がみられたとされています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

研究チームは、有機発酵乳製品が子どもの健康指標に良い影響を与える可能性を示す結果が得られたとしつつも、成長過程にある子どもの体への長期的な影響を評価するには、さらに研究を継続する必要があるとしています。具体的には、有機発酵乳製品の摂取開始から12か月後に、参加した子どもたち全員を再度調査することが望ましいと述べられています。つまり、この研究はあくまで一つの調査結果であり、長期的な効果や、他の地域・集団でも同様の結果が得られるかどうかについては、今後さらに検証が必要な段階だといえます。

まとめ

今回紹介した研究では、モルドヴィア共和国の就学前児童を対象に、有機発酵乳製品の摂取と、腸内細菌叢・免疫状態・身体発育との関連が調べられました。有機発酵乳製品を摂取していたグループで、身体発育や体組成、腸内細菌叢のバランスに良い傾向がみられ、急性呼吸器感染症の発症率もより大きく減少したことが報告されています。ただし、この結果がすぐに特定の食品の健康効果を保証するものではなく、研究者自身も長期的な追跡調査の必要性を指摘しています。今後の継続研究の結果にも注目したいところです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:モルドヴィア共和国における有機発酵乳製品が就学前児童の健康指標に及ぼす影響(医学とバイオテクノロジー・2026年01月)