私たちが普段口にする食材が、どこで作られ、どれくらいの距離を運ばれてきたのかを意識することは少ないかもしれません。特に学校給食は、多くの子どもたちが毎日食べるものであり、地元の食材(地場産物)を使う取り組みが各地で行われています。しかし、給食で使われる食材の輸送距離や、輸送に伴う環境負荷の指標とされる「フード・マイレージ」について、全国規模で調べた調査はこれまで行われていなかったといいます。また、産地の違いによって栄養素の摂取量がどう変わるかを検討した報告もなかったとされています。今回紹介する研究は、こうした空白を埋めるために行われた全国調査です。
研究でわかったこと
この研究では、全都道府県にある89の施設から、2023年6月のそれぞれ2日分の学校給食で使われた食材について、重量と産地の情報が集められました。集めたデータをもとに、産地別に栄養素等および食品群別の摂取量、そして輸送距離とフード・マイレージが算出されています。
地場産物を「同一市町村」「隣接市町村」「同一都道府県内の市町村」で使われた食材と捉えて分析した結果、地場産物の割合が最も高かった栄養素はカルシウムとビタミンB1で、食品群では乳類、次いで穀類が高い割合を示したとされています。
また、給食で提供された重量が最も多かった食品群は乳類で、次いで野菜類でしたが、この2つの食品群は輸送距離およびフード・マイレージが小さかったことが示されています。この結果から、都道府県の境をまたぐ隣接市町村からの食材も地場産物として捉える考え方や、提供量は多いのにフード・マイレージが小さかった牛乳の供給の仕組みを他の食材にも応用することで、フード・マイレージを小さくできる可能性が示唆されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
本研究は2023年6月の給食データをもとにした調査であり、この一つの研究をもって学校給食全体の傾向やフード・マイレージ削減の効果が確定したわけではありません。地場産物の定義(同一市町村か、隣接市町村か、同一都道府県内かなど)によって結果の解釈が変わりうる点も踏まえ、今後さらなる検討が必要な分野と言えそうです。
まとめ
この研究では、全国の学校給食を対象に、食材の産地別の栄養摂取量や輸送距離、フード・マイレージが初めて詳しく調べられ、乳類や野菜類は提供量が多い一方で輸送に伴う負荷は小さいことなどが示されました。給食を通じて地域の食material がどのように届けられているかを知る、興味深い手がかりを与えてくれる研究といえるでしょう。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:学校給食における食材の産地別の割合、輸送距離とフード・マイレージについて(J-STAGE 収録論文(日本)・2026年07月)