この研究は、サウジアラビア、モロッコの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Frontiers in Public Health
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
砂糖の代わりに使われる人工甘味料は、食生活が急速に変化しているサウジアラビアなどの地域で利用が広がっています。一方で、長期的な健康への影響については研究結果が一致しておらず、科学的な議論が続いています。研究チームは、こうした状況で人々が人工甘味料をどう受け止めているのか、その受け止め方には人によってどんな違いがあるのかに注目しました。
この研究には二つの目的がありました。一つは、サウジアラビアの成人を、人工甘味料に対する考え方のパターンによっていくつかのグループに分けられるかを明らかにすることです。もう一つは、どのグループに属するかによって、実際の人工甘味料の摂取量に違いがあるかを調べることです。
調査の方法
研究チームは2023年11月から2024年2月にかけて、サウジアラビアに住む18歳以上の成人386人にオンラインのアンケートを実施しました。参加者はSNSなどを通じて募集されました。無作為に選んだ人々ではなく、協力を得られた人を対象としています。
人工甘味料への態度は、23の質問から成る尺度で測定しました。この尺度は、人工甘味料を受け入れる気持ち、健康へのリスクの感じ方、カロリーを減らせるといった利点の感じ方、食品の安全を管理する規制当局への信頼、自然な食品を好む気持ちの5つの側面を測ります。摂取量については、甘味料入りの清涼飲料や乳製品、菓子など18品目を過去1か月にどのくらいの頻度でとったかを尋ね、合計して点数にしました。
分析には「潜在プロファイル分析」という手法を使いました。平均的な傾向を見るのではなく、複数の考え方の組み合わせが似ている人どうしを統計的にまとめ、回答者の中に隠れているグループを見つけ出す方法です。
主な結果
分析の結果、回答者は3つのグループに分かれました。1つ目は「利点重視型」(76人)です。人工甘味料を受け入れる気持ちと利点の評価が高く、リスクの感じ方は低く、規制当局への信頼も高いグループでした。2つ目は「リスク敏感型」(129人)です。リスクを強く感じ、自然な食品を好む気持ちが強く、受け入れる気持ちや利点の評価は低いグループでした。3つ目は「中立型」(181人)で、最も人数が多く、どの側面でも平均に近い、どっちつかずの態度を示しました。
摂取頻度の点数(0〜180点)の中央値は、利点重視型が29点、中立型が25点、リスク敏感型が22点でした。グループ間の差は統計的に意味のあるものでした。リスク敏感型の摂取量が少ないという関係は、年齢、性別、収入、地域、婚姻状況、就業状況などの影響を統計的に調整した後も残りました。
グループと属性との関係も調べています。単純な比較では、学歴だけがグループの違いと関連していました。しかし、ほかの属性の影響を調整すると、学歴との関連は認められなくなりました。代わりに、年齢と居住地域が独立した関連要因として浮かび上がりました。たとえば30〜39歳の人は、中立型に比べて利点重視型に属する可能性が低いという結果でした。
研究が示すこと
この研究は、人工甘味料に対する人々の考え方が一様ではないことを示しています。考え方の違いによってはっきりしたグループに分かれ、そのグループの違いは摂取量の違いと結びついていました。ただし、この調査はある一時点での状況を調べたものです。考え方が摂取量を変えたという因果関係までを示したものではありません。
著者らは、人々の受け止め方と行動が対応していたことを踏まえ、全員に同じメッセージを届けるやり方よりも、それぞれのグループの考え方に合わせた健康情報の伝え方が重要だと結論づけています。
著者:Abeer A. Aljehani(Food and Nutrition Department, Human Sciences and Design Faculty, King Abdulaziz University)、Buthaina Mohammed Aljehany(Food and Nutrition Department, Human Sciences and Design Faculty, King Abdulaziz University)、Eman Abbas Abduljawad(Food and Nutrition Department, Human Sciences and Design Faculty, King Abdulaziz University)、Sarah A. Alasmari(Public Health Department, College of Health Sciences, Saudi Electronic University)、Afnan H. Saaty(Food and Nutrition Department, Human Sciences and Design Faculty, King Abdulaziz University)、Dalal A Alkhudhayri(Department of Home Economic, Prince Sattam Bin Abdulaziz University)、Nada Benajiba(Joint Research Unit in Nutrition and Food, RDC-Nutrition AFRA/IAEA, Ibn Tofail University-CNESTEN)、Howeida Abusalih(Department of Health Sciences, College of Health and Rehabilitation Sciences, Princess Nourah bint Abdulrahman University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Abeer A. Aljehani, Buthaina Mohammed Aljehany, Eman Abbas Abduljawad, et al. A latent profile analysis of attitudes towards artificial sweetener consumption among adults in Saudi Arabia. Frontiers in Public Health 2026-10-09. DOI: 10.3389/fpubh.2026.1841996. 原著ライセンス:CC BY.