著者の所属・活動拠点の国は、アイルランド、アメリカです。

掲載誌:Journal of agricultural and food chemistry

ライセンス: 論文に記載なし

海藻といえば、わかめや昆布を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし世界の海には、まだ日本の食卓にあまり馴染みのない食用海藻がたくさん存在します。そのひとつが、北大西洋沿岸で古くから食べられてきた紅藻「パルマリア・パルマタ(Palmaria palmata)」、通称ダルスです。近年、この海藻のたんぱく質としての可能性に注目した研究が相次いでおり、2026年に農業化学食品化学誌に掲載された論文もそのひとつです。

研究でわかってきたこと

今回紹介する研究は、ダルスを異なる光周期(1日の明暗のサイクル)や栄養条件のもとで栽培し、そのたんぱく質の組成・ペプチド・アミノ酸プロファイル、そして消化されやすさ(体内で分解・吸収される程度)がどのように変化するかを詳しく調べたものです。

研究では、栽培環境の違いによってダルスに含まれるたんぱく質の量や質、そしてアミノ酸の組成が変化する可能性が示唆されています。また、試験管内での消化実験(in vitro消化試験)の結果から、ダルスのたんぱく質は消化されやすい性質を持つ可能性があると報告されています。海藻のたんぱく質は一般的に消化しにくいとされてきた面もあるため、この点は注目に値します。さらに、栽培条件を最適化することで、よりたんぱく質が豊富で栄養価の高いダルスを生産できる可能性も示唆されており、持続可能な食料源としての海藻養殖への期待が高まっています。

ダルスはフィコエリスリンと呼ばれる赤色の色素たんぱく質を含むことでも知られており、これが独特の風味や色合いを生み出しています。植物性・海藻由来のたんぱく質源として、今後の食品研究においてもさらなる知見が積み重ねられることが期待されます。

注目の食品と実測データ

ダルス(パルマリア・パルマタ)は現時点では当システムのデータベースに未格納のため、公的機関が公表する数値データの引用が現状では難しい状況です。ただし、海藻類全般がたんぱく質をはじめ、ミネラルや食物繊維を含む食品群であることは広く知られており、研究機関による栄養分析が世界各地で進んでいます。

日本で日常的に食べられている海藻類に目を向けると、わかめや昆布、のりなどがたんぱく質を含む食品として知られています。たとえば、焼きのりはたんぱく質を比較的多く含む海藻として親しまれており、日々の食事の中で手軽に取り入れられる食品のひとつです。海藻類は低カロリーでありながら食物繊維やミネラルも豊富な傾向があり、バランスの良い食事を考えるうえで有用な食品群とされています。

ダルスについては、今後国内外の研究や食品成分データベースの整備が進むにつれて、より詳しい栄養情報が明らかになっていくでしょう。

日々の食事に取り入れるヒント

ダルスはまだ日本のスーパーマーケットでは見かけることが少ない食材ですが、海外では乾燥チップスやスナック、スープの具材、サラダのトッピングとして利用されています。もし輸入食材店や通販で手に入る機会があれば、以下のような使い方を試してみてはいかがでしょうか。

  • スープやみそ汁の具として:乾燥ダルスを少量水で戻し、汁物に加えるだけで風味がアップします。日本のわかめの代わりに使うイメージで取り入れやすいでしょう。
  • サラダのトッピングとして:乾燥したままのダルスをサラダに散らすと、香ばしい風味と食感のアクセントになります。
  • 炒め物に加える:野菜炒めや豆腐料理に少量加えると、うまみが引き立ちます。

まだ日本では馴染みが薄い食材ではありますが、世界の海藻食文化に触れるきっかけとして、ぜひ興味を持ってみてください。また、日本で親しまれているわかめや昆布、のりなどの海藻を日々の食事にバランスよく取り入れることも、引き続き大切です。

まとめ

ダルスをはじめとした海藻類は、たんぱく質やミネラル、食物繊維を含む食品として、世界中で研究が進んでいます。栽培環境によってその栄養組成が変わる可能性が示唆されており、持続可能な食の未来を考えるうえで欠かせない存在となっています。特定の食品に頼るのではなく、さまざまな食材をバランスよく組み合わせた食生活を心がけることが、健やかな毎日への近道です。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。出典(原著論文):Protein, Peptide, Amino Acid Profiles, and In Vitro Digestibility of the Edible Red Seaweed Palmaria palmata Grown under Different Nutrient and Lighting Conditions(農業化学食品化学誌(2026-04-29))

栄養素のはたらきの記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省

著者:Marta Santos-Hernández(Proteins and Peptides Research Group, Department of Biological Sciences, Faculty of Science and Engineering)、Miryam Amigo‐Benavent(Food Science and Technology Team, Bernal Institute)、Anthony Temitope Idowu(Proteins and Peptides Research Group, Department of Biological Sciences, Faculty of Science and Engineering)、Susan Whelan(Irish Seaweed Consultancy Ltd)、Maeve D. Edwards(Irish Seaweed Consultancy Ltd)、Richard J. Fitzgerald(Food Science and Technology Team, Bernal Institute)