豆腐・納豆・油揚げ——どれも同じ大豆から作られるのに、100gあたりのたんぱく質は5gから23gまで大きく開きがある。製法の違いがこれほどの数値の差を生む。

水分の多さが、たんぱく質の濃度を決める

絹ごし豆腐は豆乳をそのまま固める製法のため水分が多く、たんぱく質は100gあたり5.3g、エネルギーは56kcalとひかえめだ。なめらかな口あたりは水分の多さの表れでもある。

一方、木綿豆腐は豆乳を固めた後に圧搾して水分を抜く。その分だけたんぱく質が濃縮され、100gあたり7.0g、エネルギーは73kcal。絹ごしと比べると同じ100gでたんぱく質が1.7g多い計算になる。「どちらも豆腐だから同じ」と思っていると、選び方次第で積み重なる差がある。

揚げると何が変わるか

絹生揚げ(厚揚げ)は豆腐を油で揚げたもの。たんぱく質は100gあたり7.9gと木綿豆腐よりわずかに多く、脂質は7.7gと豆腐の約1.6倍になる(木綿豆腐の脂質は4.9g)。エネルギーも103kcalへ上がる。揚げることで表面に脂質が加わり、食べごたえが増す。

さらに薄く切って高温で揚げた油揚げ(生)になると、数字の印象がぐっと変わる。たんぱく質は100gあたり23.4g(女性30〜49歳の1日推奨量50gの47%)、脂質は34.4g、エネルギーは377kcalに達する。ただし油揚げは1枚あたりの目安量が約20gと少なく、1枚で摂れるたんぱく質は約5g、エネルギーは約75kcalほどの概算になる。100gあたりの数字のインパクトと、実際に食べる量の差を混同しないことが大切だ。

納豆は「たんぱく質+食物繊維」のセット

糸引き納豆のたんぱく質は100gあたり16.5g(女性30〜49歳の1日推奨量の33%)。市販の糸引き納豆は1パック約40〜50gが主流のため、1パックあたり約7〜8gのたんぱく質を摂れる計算になる。脂質は100gあたり10gと油揚げほど多くなく、食物繊維が9.5g(女性30〜49歳の1日目標量18gの53%)と豊富な点も特徴だ。食物繊維は消化されずに腸まで届く成分で、大豆製品の中でも納豆はこの組み合わせが際立っている。

また納豆にはビタミンKが100gあたり600µg含まれる(女性30〜49歳の1日目安量150µgの400%)。ビタミンKは正常な血液凝固を維持し、骨の形成にも関わる。ただし血液を固まりにくくするワーファリン(抗凝固薬)を服用中の場合は、ビタミンKの摂取量を医師や薬剤師に相談しながら調節する必要があるとされている。

目的別、選び方のヒント

たんぱく質を効率よく摂りたい日の主役は、手軽に食べられる糸引き納豆か、炒め物や煮物にそのまま使える木綿豆腐が向いている。エネルギーをひかえながら食事にたんぱく質を足したい場合は、低カロリーな絹ごし豆腐が使いやすい。みそ汁に加えたり、冷奴にしたりと手間がかからないのも利点だ。

油揚げは煮物や味噌汁の具としてよく使われ、1枚約20gという使い方を意識すれば脂質の多さも気になりにくい。絹生揚げは炒め物やおでんに加えると食べごたえが出て、たんぱく質と脂質のバランスが木綿豆腐と油揚げの中間に位置する。

「同じ大豆」でも数字はこれだけ違う

  • たんぱく質(100gあたり):糸引き納豆 16.5g / 油揚げ 23.4g / 絹生揚げ 7.9g / 木綿豆腐 7.0g / 絹ごし豆腐 5.3g
  • 脂質(100gあたり):油揚げ 34.4g / 糸引き納豆 10g / 絹生揚げ 7.7g / 木綿豆腐 4.9g / 絹ごし豆腐 3.5g

同じ大豆が原料でも、水を抜くか・揚げるか・発酵させるかという製法の違いが、これだけの数値の差を生む。毎日の食卓でどれを選ぶかを少し意識するだけで、たんぱく質や脂質の摂り方を自分の目的に近づけることができる。大豆製品の「使い分け」は、新しい食品を買い足す必要もなく、今日からすぐに試せる最も手軽な食事の工夫のひとつだ。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準文部科学省 食品成分データベース消費者庁食品安全委員会