メチオニンは、硫黄を含む含硫必須アミノ酸のひとつで、食事から必ず摂る必要があります。体内ではたんぱく質の材料になるとともに、メチル基供与体としての役割を担います。「メチル基供与体」とは、体の中でさまざまな物質をつくるときに必要な小さな部品(メチル基)を渡す係、くらいのイメージです。同じ含硫アミノ酸の仲間にシスチンがあります。
なお、メチオニンには現時点で日本人の食事摂取基準による推奨量や目安量などの定量的な基準は設定されていません。
上位5食品——「節・乾燥・煮干し」が並ぶ理由
ランキングを見渡すと、乾燥・節・煮干しといった水分を飛ばした加工品が多く並んでいることに気づきます。水分が減った分、あらゆる栄養成分がギュッと凝縮されるためです。ただし、これらは一度に大量に食べるものではないため、「密度が高い=少量でも効率的」という見方が適切です。
第1位 鶏卵 卵白 乾燥卵白(卵類)——3200mg
堂々のトップは、卵白を乾燥させた粉末状の食品。全卵のうち卵白部分が約69%を占め、その主成分は水分とたんぱく質です。乾燥によって水分を除いた結果、メチオニンが100gあたり3200mgという高い値になっています。同じく含硫アミノ酸の仲間であるシスチンも2500mg含まれており、含硫アミノ酸合計は5700mgに達します。さらにビタミンB2も2.09mgと豊富です。脂質がほぼゼロという点も、この食品の際立った特徴です。
第2位 カゼイン(乳類)——2700mg
牛乳のたんぱく質の約80%を占める成分がカゼインです。牛乳はカルシウムをはじめミネラルを多く含む食品として知られていますが、そのたんぱく質を濃縮したカゼインはアミノ酸の宝庫でもあります。複数の必須アミノ酸も高い値を示しており、アミノ酸バランスの豊かさが伝わります。
第3位 ごまさば さば節(魚介類)——2500mg
一般にさばといえば真さばを指すことが多いですが、こちらはごまさばを節に加工したもの。節状に削り乾燥させることでたんぱく質が凝縮されています。メチオニン2500mgに加え、ヒスチジン4700mgも目を引きます。
第4位 しろさけ サケ節 削り節(魚介類)——2400mg
サケは赤い色素成分のアスタキサンチンを含む魚として知られています。そのサケを節・削り節に加工したものがこの食品です。メチオニンのほか、ビタミンD(100gあたり33µg)やセレン(100gあたり120µg)も豊富に含まれています。セレンには耐容上限量が設定されている栄養素のため、この食品を通常の食事で少量使う分には過剰摂取の心配は低いですが、サプリメント等と重なる場合は注意が必要です。
第5位 とびうお 煮干し(魚介類)——2300mg
煮干しはさまざまな魚種で作られますが、とびうおの煮干しもそのひとつです。九州・山陰地方ではとびうおを「あご」と呼ぶため、「あご煮干し」の名でも親しまれています。カルシウムが100gあたり1200mgと非常に高い値で、これは女性(30〜49歳)の推奨量(650mg/日)の185%に相当します。ただしこれはあくまでも推奨量に対する割合であり、煮干しは出汁取りや少量の使用が一般的なため、一度に100g食べることはほとんどありません。
まとめ——日常の食卓に引き寄せると
トップ5を並べると、乾燥卵白・カゼイン・節・煮干しと、「乾燥・濃縮された加工品」が顔をそろえました。これらは料理の脇役として少量使うことが多い食品でもあります。毎日のだし取りに使う煮干し、スポーツ後のたんぱく補給に使われる卵白パウダー、牛乳由来のカゼイン——いずれも、意識せずとも食卓に登場している食材です。メチオニンというアミノ酸の名前は知らなくても、こうした食品を普段の食事に組み合わせていくことが、アミノ酸バランスの底上げにつながります。
栄養素のはたらきの記述は、次の公的資料に基づきます:食品安全委員会
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。