著者の所属・活動拠点の国は、イランです。

掲載誌:Nutrition and Diabetes

ライセンス: CC BY-NC-ND 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

クロレラは淡水に生息する単細胞の緑藻で、栄養補助食品(サプリメント)として広く販売されています。「健康に良い」というイメージを持つ人も多い食品ですが、実際にどのような効果が科学的に確認されているのかは、個々の研究によって結果にばらつきがあり、はっきりしない部分もありました。今回紹介する論文は、これまでに発表された複数の研究データをまとめて解析する「系統的レビューとメタ分析」という手法を用いて、クロレラ摂取が一般集団の健康関連の指標にどのような影響を与えるのかを整理したものです。

研究でわかったこと

研究チームはPubMed、CENTRAL、Web of Science、Scopus、EMBASEという主要な学術データベースを対象に、2025年2月20日までに発表された文献を網羅的に検索し、条件に合致した24件の研究を解析対象としました。

その結果、クロレラの摂取によって、体脂肪率(平均差−0.73%)、BMI(体格指数、平均差−0.30 kg/m²)、体重(平均差−1.28 kg)、ウエスト・ヒップ比(平均差−0.01%)といった体格に関する指標が、有意に低下したと報告されています。

また、インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IR(平均差−0.22)やインスリン値(平均差−0.86 μU/mL)、炎症の指標である高感度CRP(平均差−0.56 μg/mL)についても、有意な低下がみられたとされています。脂質関連では、LDLコレステロール(平均差−6.20 mg/dL)、総コレステロール(平均差−8.03 mg/dL)、中性脂肪(平均差−2.91 mg/dL)がいずれも有意に低下したことが示されています。

このほか、酸化ストレスに関わるマロンジアルデヒド(平均差−1.84 nmol/mL)や、食欲に関わるホルモンであるレプチン(平均差−0.71 ng/mL)も有意に低下した一方、抗酸化酵素の一つであるカタラーゼ(平均差+22.06 U/g・Hb)は有意に増加したと報告されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

これだけを見ると、クロレラには幅広い好影響がありそうに思えますが、この論文では非常に重要な注意点も示されています。研究の質を評価する国際的な基準であるGRADE(グレード)システムを用いて各指標のエビデンス(科学的根拠)の確実性を評価したところ、BMIについては「低い(low)」、それ以外のほとんどの指標については「非常に低い(very low)」と判定されたのです。

つまり、今回まとめられた24件の研究の結果を総合すると数値上は有意な変化が見られたものの、その根拠の強さそのものは十分とは言えず、今後さらに質の高い研究によって検証される必要がある段階にあるといえます。論文の著者らも、これらの結果は「慎重に解釈されるべきである」と述べています。

また、この記事で紹介したのはあくまで一つのメタ分析論文の内容であり、クロレラの効果について結論が確定したわけではありません。個々人の健康状態や摂取量、他の生活習慣によっても影響は異なると考えられます。

まとめ

今回のメタ分析では、クロレラの摂取が体重やBMI、血中脂質、インスリン抵抗性、炎症マーカーなど、代謝に関わる複数の指標において有意な変化と関連していたことが示唆されています。一方で、GRADE評価によるエビデンスの確実性は多くの項目で「非常に低い」とされており、著者らはこの結果を慎重に解釈する必要があるとしています。今後、より質の高い研究の蓄積によって、クロレラの健康への影響がさらに明らかになっていくことが期待されます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):一般集団におけるクロレラ属サプリメント摂取の有益効果:GRADE評価による系統的レビューと用量反応メタ分析(ニュートリション・アンド・ダイアビーティーズ・2026年07月)

著者:Helia Mardani(Students' Scientific Research Center (SSRC), Tehran University of Medical Sciences, Tehran, Iran)、Mohammad Amin Karimi(School of Medicine, Shahid Beheshti University of Medical Sciences, Tehran, Iran)、Mohammad Sharifi(Department of Nutrition, Food Sciences and Clinical Biochemistry, School of Medicine, Social Determinants of Health Research Center, Gonabad University of Medical Science, Gonabad, Iran)、Dorsa Ghazvineh(Non-Communicable Diseases Research Center, Alborz University of Medical Sciences, Karaj, Iran)、Zahra Yari(Department of Nutrition Research, National Nutrition and Food Technology Research Institute and Faculty of Nutrition Sciences and Food Technology, Shahid Beheshti University of Medical Sciences, Tehran, Iran. [email protected])、Ali Jafari(Student Research Committee, Department of Community Nutrition, Faculty of Nutrition Sciences and Food Technology, National Nutrition and Food Technology Research Institute, Shahid Beheshti University of Medical Sciences, Tehran, Iran. [email protected])