掲載誌:Unifunec Científica Multidisciplinar

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

仕事に関わる生活の質は、体の健康、心の状態、人間関係、生活環境など、いくつもの側面から成り立つ考え方です。工場では長時間労働やさまざまな勤務シフトがあり、働き方の条件が従業員の心身にどう関わるかを知ることが大切だと、著者らは述べています。

研究チームは、ブラジル・サンパウロ州北西部の内陸にある動物用飼料工場を対象に、勤務シフトの違いによって、従業員が感じる生活の質や食習慣に違いがあるかを調べました。著者らによると、このような地方の飼料工場で働く人々を扱った研究は国内でもまだ少ないとされています。

何をどのように調べたか

調査は、ある一時点の状態を調べる横断研究として行われました。対象は、正規の雇用契約を結び、勤続6か月以上の18歳以上の従業員です。2025年5月から6月にかけて、参加を希望した135人が職場で携帯端末を使ってアンケートに回答しました。参加者は事務系の日勤、朝のシフト、午後のシフト、夜間シフトの4つのグループに分けて比較されました。

生活の質の測定には、世界保健機関(WHO)が作成した26問の質問票の短縮版が使われました。この質問票では、体の健康、心理面、人間関係、生活環境の4つの領域について、0から100の点数で評価します。点数が高いほど、生活の質がよいと感じていることを示します。

食習慣の測定には、ブラジル保健省が国民の食生活の把握に用いている簡易な質問票が使われました。前日に豆、果物、野菜などを食べたか、加工肉や甘い飲み物、超加工食品をとったかなどを「はい」か「いいえ」で答える形式です。研究チームはこの回答から、健康的な食品の指標、健康的でない食品の指標、総合点をそれぞれ計算し、シフトの間で比べました。

主な結果

参加者の約4分の3は男性で、半数余りが事務系の日勤でした。自己申告による平均睡眠時間は約6.2時間で、著者らは成人に推奨される睡眠時間を下回る傾向にあると指摘しています。

生活の質については、4つの領域のいずれでも平均点はおおむね60点台から70点台で、著者らは満足できる水準と評価しています。シフトの間で統計的に意味のある差は、どの領域にも見られませんでした。

一方、食習慣では、健康的でない食品の指標にだけシフト間の差が見られました。午後のシフトで働く人々は、ほかの3つのシフトのいずれと比べても、超加工食品などの健康的でない食品をとる頻度が高い傾向を示しました。健康的な食品の指標と総合点には、シフト間で統計的な差はありませんでした。なお、午後のシフトの参加者は14人と比較的少人数です。

著者らは、生活の質にシフト間の差が見られなかった背景として、社内の食堂や仮眠室、定期的な医療・理学療法の支援、労働安全の取り組みなどの社内の制度が影響した可能性を挙げています。ただし、これは研究チームによる解釈であり、この調査で因果関係が確かめられたわけではありません。

研究から見えること

この研究では、調べた工場の従業員が全体として自分の生活の質を前向きにとらえていて、その感じ方は勤務シフトによって大きく変わらないことが報告されました。その一方で、午後のシフトの人々には健康的でない食習慣が目立つという、特定のグループに注意が必要な点も示されました。

著者らは、職場での生活の質を考えるうえで、職場環境や心身の状態に加え、食習慣のような日々の行動にも目を向ける必要があると述べています。そして、職場に組み込んだ食生活の教育や健康づくりの取り組みが必要だと結論づけています。

原著論文の著者・所属:Alexandre dos SANTOS(Centro Universitário de Santa Fé do Sul - Unifunec)、Lívia Maria Cruz MELFA(Centro Universitário de Santa Fé do Sul - Unifunec)、Denise Rossi FORESTO-DEL COL(Centro Universitário de Santa Fé do Sul - Unifunec)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Alexandre dos SANTOS, Lívia Maria Cruz MELFA, Denise Rossi FORESTO-DEL COL. QUALIDADE DE VIDA NO TRABALHO EM COLABORADORES DE UMA INDÚSTRIA DE RAÇÕES DO INTERIOR DO NOROESTE PAULISTA. Unifunec Científica Multidisciplinar 2026-10-19. DOI: 10.24980/ucm.v15i17.6712. 原著ライセンス:CC BY.